コーポレート・ガバナンスニュース(2021/2/12)

本日は、以下の記事について取り上げます。

1.企業の「脱炭素」情報、「有報で充実を」 金融庁有識者会議

2.不二家、社外取締役に女優の酒井美紀さん

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1.企業の「脱炭素」情報、「有報で充実を」 金融庁有識者会議

【注目ポイント(記事一部引用)】
金融庁は10日、気候変動への対応など持続可能な経済成長に向けた投融資について議論する「サステナブルファイナンス有識者会議」を開き、投資を呼び込む企業の情報開示を充実させる方策を議論した。気候変動問題が企業に与える影響について法定の有価証券報告書で開示を充実させるべきだとの意見が多かった。

【コメント】
世界的に脱炭素化社会の実現に向けた動きが進み、グローバルの機関投資家の関心の高さから、各国の規制当局もこの問題に対処が求められています。

日本の金融庁の有識者会議における議論でも、投資家サイドに立つ委員は有価証券報告書に気候変動が企業に与える影響について情報開示を行させるべきという立場に立っていますが、企業側の反応は、情報開示は義務にするのではなく、まずは自主的な開示を求めるレベルに落ち着かせたいようです。

有価証券報告書の記載となると法改正を含めて、対応に時間が掛かることが予想されるため、まずは今春に予定しているコーポレートガバナンスコードの改訂に反映されるかどうかが注目です。

 

2.不二家、社外取締役に女優の酒井美紀さん

【注目ポイント(記事一部引用)】
不二家は11日までに、社外取締役候補として女優の酒井美紀さんを内定したと発表した。3月24日の株主総会に諮る。

【コメント】
取締役会における多様性の確保は重要ですが、何をもってその人物が適任かを判断する軸がない場合、今回の不二家のようなことが起きるのだと思います。

女優がいけないという訳ではもちろんありませんが、逆になぜ、女優である必要があるのかということを、不二家は株主に対して説明する義務があります。
M&Aや事業再編、役員報酬の検討や後継者計画、ESGや気候変動に関するリスクへの対応・・・、取締役会で議論するべきことは経営における高い専門性が要求されるテーマばかりです。不二家がこの女優の方が適任だと主張する「世界の子供たちを支援した経験や主婦としての立場」だけで務まるかは、大いに疑問です。

昨年、女性アナウンサー出身者が社外取締役に就任することは妥当か、という記事を書きましたが、今回もそれと同じような話だと考えています。

 

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