コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/26)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. 予期せぬ経営者交代、リスク明記わずか2%
  2. 関西電力、「脱・内向き」1合目 社外の力生かせるか
  3. 東芝の株主総会巡り、終わらない場外乱闘

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1.予期せぬ経営者交代、リスク明記わずか2%

【注目ポイント(記事一部引用)】
数あるリスクのなかでも企業が特に見落としがちなのが経営者の交代リスクだ。カリスマ性のある創業者がけん引していたり、実力ある社長が大きな交渉を一手に担っていたりする企業は少なくない。高齢の場合も多く、突然の体調不良などの場合は企業はリスクにさらされる。

【コメント】
経営者の交代リスクについては、創業者がCEOを務めているような企業はもちろんのこと、サラリーマン型の企業であっても会社の運命を左右しかねない一大事です。こうしたリスクをマネジメントするためにも社長・CEOのサクセッションプラン(後継者計画)を平時から進めておくことが必要です。その際、現在の経営者が優秀であればあるほど後継者が一人で同じ役割を担うハードルは高くなるため、経営陣でどのようにその役割を分担するかが論点となります。つまり、次期社長だけでなく、広く次期経営チームの構想を行うと同時に、必要な人材の育成に取り組んでおくことが求められます。

 

2.関西電力、「脱・内向き」1合目 社外の力生かせるか

【注目ポイント(記事一部引用)】
関西電力の金品受領問題は26日で発覚から1年を迎える。原因とされた「内向きの企業体質」からの脱却に向け経営陣を刷新し会社形態も変更したが、改革は始まったばかり。原子力発電所の再稼働など事業の課題も山積する。関電はどう変わり、どこへ向かうのか――。現在地を検証する。

【コメント】
以前こちらの記事にて、ガバナンスの難しさについて触れました。

「ガバナンスの難しいところは、制度的・プロセス的なテーマでありながら、その機能を実現するためにはガバナンスに関わる当事者(代表的には取締役会や取締役個々人およびそれを支える取締役事務局機能など)の能力や役割を果たそうとする意思に依る部分が大きいことです。」

ガバナンスに関わる当事者のうち取締役はもちろん重要ですが、それを支える事務局機能が充実していることは、実務面での強力なサポートとなります。今回の記事では関西電力の取締役会室を取り上げていましたが、ガバナンスに定評がある企業では「コーポレートガバナンス室」や「取締役会事務局」など名称は様々ですが、似たような事務局機能を設けています。こうした事務局機能について、選任部署の設置ではなく、所属部署を持ちながら兼務で対応しているという話をよく聞きますが、できれば選任部署を設けた方が良いでしょう。昨今、指名委員会や報酬委員会など委員会活動も活発化しており、今後も取り組み内容や活動範囲が広がる可能性が高いためです。

 

 

3.東芝の株主総会巡り、終わらない場外乱闘

【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝が7月末に開催した株主総会の結果を巡る混乱が収まらない。車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)が薄氷の再選を果たしたが、その際に議決権がきちんと反映されなかったという指摘が複数の株主から相次いでいるからだ。この過程で三井住友信託銀行が東芝を含む約1000社の議決権集計で誤りを犯していたことが判明するなど、余波は広がっている。さらに、東芝の筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、7月の株主総会が公正に運営されたかどうかを調べるための第三者委員会設立を求めたことが日経ビジネスの取材で明らかになった。

【コメント】
まさに場外乱闘気味の様相ですが、東芝の株主総会を巡っては、エフィッシモをはじめとしたアクティビストが結果に納得していないことがわかります。ところで、記事の中ではエフィッシモは7月末の東芝の株主総会で1139枚の議決権行使書が無効になっていること、海外株主に対して議決権行使を行わないように財界の著名人を通じて圧力がかかったことなどを主張しているようです。事実関係はわかりませんが、これが事実だとするとこの財界の著名人は、なぜここまで東芝を守ろうとするのでしょうか?先日こちらの記事で、経産省が東芝の株主総会前に海外株主に対して接触していたと報じられていますが、経産省も関係しているのでしょうか?色々と表には出ていないことが、まだまだあるのかもしれません。