コーポレート・ガバナンスニュース(2020/8/2)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 物言う株主、攻勢強める コロナ禍で投資加速へ
  2. 東芝は成長戦略を描けるか

※記事のタイトルをクリックすると、記事リンク先に移行します

 

1.物言う株主、攻勢強める コロナ禍で投資加速へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
企業法務に詳しい西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士はインタビューに応じ、企業に積極的に提案する「物言う株主」が、来年にかけ投資先への攻勢を一段と強めるとの認識を示した。主要国の金融緩和政策によるカネ余りを背景に投資を加速し、より高い運用益を求めて組織や事業の変革を迫ると分析。企業との攻防が激しくなりそうだ。

【コメント】
以前、下記の記事で取り上げたように、コロナ禍によってアクティビストの動きは従来に比べ性質が変わり、より経営改善型のアクティビズムへと変化しています。足元の危機を脱するだけでなく、中長期の持続可能な成長を実現するために企業に対して抜本的な改革を迫ることが予想されます。もちろん、その中にはコーポレートガバナンス改革も含まれでしょう。具体的には、経営の執行と監督の分離の徹底、取締役会の選任要件の策定と具体的な候補者の探索、役員報酬による株主と経営陣の利害の共有などは、多くの企業で取り組みが進むはずです。

【参考記事】

コロナ危機下の今、アクティビストはどう動くか

 

2.東芝は成長戦略を描けるか

【注目ポイント(記事一部引用)】
7月31日の東芝の株主総会で車谷暢昭社長の再任決議をはじめとする会社提案が可決され、2つの物言う株主(アクティビスト)の提出した株主提案は退けられた。
2年前に発足した車谷体制がひとまず信任を得た形だが、アクティビストとの対峙は今後も続くだろう。目先の利益還元を求める株主の重圧にさらされながら、長期の成長戦略を描けるか、東芝経営陣の手腕に注目したい。

【コメント】
東芝の今後ですが、コーポレートガバナンスの一層の強化と成長戦略の実現が重要であることには間違いと思います。一方、勝利したとはいえ、株主総会前に取締役選任を巡ってエフィッシモ及び同社に賛同する他の株主が相当程度出たことから気になるのは車谷CEOの取締役選任に関する賛成比率がどの程度だったかということです。恐らく数日以内に発表されると思いますが、こちらの記事で述べたように、仮に賛成比率がギリギリ可決に近い状態であった場合には、今後何かあった場合にはCEO交代の圧力が株主から出る可能性が高くなります。