コーポレート・ガバナンスニュース(2020/5/30)
本日は、以下の3つについて取り上げます。
- テスラCEO 報酬750億円 イーロン・マスク氏 成果連動型、要件満たす
- ソフトバンクG、役員報酬1割減の14.7億円
- 天馬 企業統治の改善を期待
1. テスラCEO 報酬750億円 イーロン・マスク氏 成果連動型、要件満たす
【注目ポイント(記事一部引用)】
米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が7億ドル(約750億円)を超える成果連動型の報酬を受けることが28日、明らかになった。ESG(環境・社会・統治)投資を追い風にテスラ株は過去1年で約4倍に上昇した。時価総額が1000億ドルを上回るなどの要件を満たしたことで、2018年に定めたルールに基づく最初の報酬を受け取る権利を手にした。
【コメント】
イーロン・マスクの報酬設計は、18年の設定時点でも超巨額のストックオプションが話題を呼びました。その時点では、恐らく多くの人が達成は困難とみていました(私もその一人でした)が、要件である時価総額1000億ドルを超えたというのはやはりとてつもない人物です。イーロンマスクの報酬自体は、確か固定報酬が4万ドル程度だったかと記憶しています。究極の成果主義体系の報酬ですが、イノベーションを次々に実現されることが期待される会社であれば、こうした報酬体系の方が経営者にとってのインセンティブとしても株主の価値の最大化という観点からも適していると思います。
【注目ポイント(記事一部引用)】
ソフトバンクグループ(SBG)が29日に公表した定時株主総会招集通知によると、2020年3月期の役員の報酬等の総額(基本報酬、賞与、株式報酬の総額)は14億7000万円だった。前の期比1億5700万円(約10%)減少した。個人の報酬額首位はマルセロ・クラウレ副社長で17%増の21億1300万円だった。
【コメント】
この記事だけではよくわかりませんが、ソフトバンクグループの業績悪化の要因とされるビジョンファンドの責任者であるラジーブ・ミスラ副社長の報酬が前年比で倍増の16億円というのは驚きです。ほとんどが業績連動報酬によるものでしょうが、だとすると設定していたKPIやその配分はどのようになっていたのでしょうか。SBGの株主からすると、一連のビジョンファンドによる業績悪化の責任者の報酬が、倍増になっているというのは納得感を得られないと思います。SBGの役員報酬に関しては別途このブログの中で、取り上げたいと思います。
【注目ポイント(記事一部引用)】
28日の東京株式市場でプラスチック製造を手がける天馬株が一時、前日比167円(10%)高の1870円と、約2カ月ぶりの高値を付けた。前日の取引時間終了後、「物言う株主」とされる米ファンドから取締役を招く選任議案を、6月の定時株主総会に提出すると発表。海外子会社の不正を巡り経営が混乱するなか、企業統治の改善を期待した買いが入った。
【コメント】
アクティビストのダルトンインベストメンツからの社外取締役受け入れを発表した天馬の株価が上昇しています。元々コーポレートガバナンスに問題があるとされていた企業なだけに、ガバナンス改善に伴う経営の健全化への第一歩とみたということでしょうか。実際にダルトンからの候補者が社外取締役としてどのような働きを行うかは全く未知数でしょうが、それだけ市場からすると従来の経営体制には不備があり企業価値を損なっているとみていたといたということでもあります。