コーポレート・ガバナンスニュース(2020/5/31)

本日は、以下の3つについて取り上げます。

  1. WeWork、新取締役指名で投票へ
  2. 企業の持病「たこつぼ文化」壊すためには
  3. 取締役会の議事録承認、クラウドで電子署名 法務省が容認

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1.WeWork、新取締役指名で投票へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
シェアオフィス事業を展開する米ウィーワークの取締役会は新たな取締役2人の指名について29日に投票を行う予定だ。同社株主のソフトバンクグループとそれに対抗する勢力の争いで重大な局面を迎えることになる。

【コメント】
ソフトバンクグループ(SBG)のビジョンファンドの業績悪化の一因となったウィーワークですが、SBGが予定していた株の買い取りを中止していたことにより訴訟へと発展、今回の取締役2名の新たな選任という事態となっています。SBGからすると、ウィーワークの株の買い取りは、コロナウィルスがこれだけ大問題に発展する前に決定したことでもあり、財務の余裕はないでしょうから、極力白紙に戻したいことでしょう。逆にウィーワーク側からすると、SBGの株の買い取りが中止になった場合、破綻のリスクは高まるでしょうから、引くに引けません。どちらにしてもこのような事態になってしまうと、両社の折り合いが立つように決着するのは、難しいと思います。

2. 企業の持病「たこつぼ文化」壊すためには

【注目ポイント(記事一部引用)】
利用者軽視の姿勢、原発事業の不透明さ、そしてガバナンス(企業統治)意識の欠如――。原発事業をめぐる電力会社の金品受領問題から課題が見えてきた。社会の理解を得るよりも原発を動かすことを優先させた時、何が起きるのか。様々な視点を持つ専門家らにインタビューで聞いた。

【コメント】
久保利弁護士のご指摘の通りと思います。関電の問題は、問題が発覚した後に、長年のしがらみや慣習を断ち切り、毅然とした対応を図るために、取締役会・監査役会がしかるべき機能を果たすべきところが、そうでなかったという点が最大の問題です。機関設計を指名委員会等設置会社へ変更することや役員報酬の個別情報開示を行うなど、同社のコーポレートガバナンスは改善されつつあるように見えますが、まだまだ根深い問題は内部に残っていても不思議ではありません。社外取締役がどこまで同社の経営の意思決定に実質的に関与できるかが、関電が本当に変わったかどうかを確認するための試金石となりそうです。

3. 取締役会の議事録承認、クラウドで電子署名 法務省が容認

【注目ポイント(記事一部引用)】
法務省が取締役会の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認についてクラウドを使った電子署名を認める。これまで会社法が容認しているかを明示する規定はなかった。新型コロナウイルスの感染防止策の一環で、署名や押印に関わる手続きを簡素にしたい経済界の要望を反映し、明確な方針を定めた。

【コメント】
これも今回のコロナウィルスが契機となって長年の懸案事項が前に進んだ事例の1つでしょうか。元々、以前から社外取締役が外国人であるなど、日本の非居住者の場合は取締役会への参加自体がリモートで行われている例が少なくなく、そうした企業の場合は、承認事項のクラウドベースの電子承認により効率化が一段と進みます。歓迎する企業は多いでしょう。