コーポレート・ガバナンスニュース(2021/3/19)

本日は、以下の記事について取り上げます。

1.岐路に立つ東芝、総会で株主提案可決 強まる対立構図

2.会社はやっぱり、頭から腐る 社長人事を変えなければ生き残りはない

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1.岐路に立つ東芝、総会で株主提案可決 強まる対立構図

【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝が18日開いた臨時株主総会で、筆頭株主でシンガポールの投資ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが出した株主提案が賛成多数で可決した。2020年の株主総会が公正に運営されたかどうかについて調査を求めており、弁護士による調査が始まることになる。再建途上で加わった「物言う株主」との対立の構図は強まっており、再建の行方も大きく変わりそうだ。

【コメント】
注目されていた東芝の臨時株主総会では、アクティビスト2社から提出されていた株主提案のうち、エッフィシモ・キャピタルの提案が賛成多数で可決され、ファラロン・キャピタルの提案は否決されました。

エフィッシモの提案は、2020年の株主総会が公正に開催されたかどうかの再調査を求めるもので、昨年末に騒動となった議決権行使の集計ミスに起因したものが直接には影響しています。

しかし、それだけでなくこちらの記事で取り上げたように、監督官庁である経産省が昨年の株主総会前にエフィッシモを含む複数のアクティビストファンドに接触し、圧力をかけていたのではないかという疑惑も指摘されています。今回の再調査がここまで踏み込んだものになるかどうかはわかりませんが、いずれにしても株主総会が正当に実施されたかどうかを検証する案が、他の機関投資家などの株主の賛同も得て可決されたことについては、今後の東芝の取締役会と株主との力関係にも大きく影響を与えそうです。

 

2.会社はやっぱり、頭から腐る 社長人事を変えなければ生き残りはない

【注目ポイント(記事一部引用)】
「社長人事ほど難しいものはない」。これまでに約100件の社長人事に関わった冨山和彦氏の実感だという。社長の力量は、会社の命運すら左右しかねない。とくに、この激変の時代はそうだろう。デジタル革命やグローバル化の波が押し寄せる「令和」のいま、「社長の選び方」もまた変わっていく必要があると、冨山氏は言う。経営トップに求められる資質は、昔とどう変わったのか。コーポレートガバナンス改革はどうして必要なのか。社長が変われば、その会社も変革できるのか。

【コメント】
これだけ先行きが不透明な中で、経営トップの選任に関して現社長の一存に依存するのがリスクというのはその通りです。経営者のサクセッションプランは、会社の運命を左右する一大イベントであるからこそ、現社長の見えている範囲だけでなく、社外取締役に期待される、社外からの客観性や各分野の経営のエキスパートの視点など叡智を結集し、取締役会の総意として、最もふさわしい人材選び・人材育成が求められます。