コーポレート・ガバナンスニュース(2021/2/22)

本日は、以下の記事について取り上げます。

1.社外役員2割が前任と同じ企業・組織から 担い手不足

2.自社に適合した形態模索を 企業統治新時代

※記事のタイトルをクリックすると、記事リンク先に移行します

 

1.社外役員2割が前任と同じ企業・組織から 担い手不足

【注目ポイント(記事一部引用)】
企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が今春改定される。独立社外取締役の比率を3分の1以上に高めることなどが骨子だが、国内の担い手不足は深刻だ。社外役員の2割強は前任者と同じ企業・組織の出身で、三菱グループなど取締役を「持ち合い」する例もある。数合わせばかりの対応では、ガバナンス改革は進まない。

【コメント】
社外取締役候補者についてはその候補者の不足がここ数年続いています。企業によって、一人の社外取締役に何年間社外取締役を務めてもらうかは異なりますが、候補者が不足している状況が今後も続くのだと想定すると、計画的に候補者探しを進めていく必要があります。

「サクセッションプラン」というとCEOや社長などの執行サイドのポストを対象にしたものと考えがちですが、社外取締役についてもその対象に含めるのが、グローバル企業ではスタンダードです。

弊社でも社外取締役の候補者探しの支援を行う中で、社外取締役や社外監査役を対象にしたサクセッションプランの策定も併せて進めることがあります。取締役の任期にもよりますが、大体4~6年程度のスパンでの交替を想定して、人材要件の策定、候補者のロングリストの作成、ショートリストへの絞込み、候補者へのアプローチ等を一貫したプランとして策定しています。

 

 

 

2.自社に適合した形態模索を 企業統治新時代

【注目ポイント(記事一部引用)】
日本の企業統治を巡る風景は10年で大きく変貌を遂げた。例えば独立社外取締役を複数選任する東証1部企業は10年前の10%程度から直近では95%程度、3分の1以上を選任する企業も約6割にのぼる。報酬・指名委員会を設ける東証1部企業も2015年には1割前後だったが、直近では6割前後まで増えている。

【コメント】
記事の中で、加賀谷教授が指摘しているように、コーポレートガバナンスは、各企業が目指している経営や置かれている状況が異なる以上、一律のものではなく、各々の企業の独自性が発揮されることは自然なことだと、筆者も同様に思います。

一方で、現在のコーポレートガバナンスコードや今春の改定予定の内容をみても、コードの各原則や補充原則のいずれもが、上場企業であれば本来担保するべき「当たり前」のことしか書かれておりません。あるコーポレートガバナンスの専門家も指摘していますが、この程度のことに取り組めないというのは、そもそも上場企業としてどうなのか、というのはその通りだと思います。実際に投資家や株主などの温度感もコードの内容を担保することは当然という考えが大多数なので、コードを遵守できない状況を放置することは、多くの企業にとって難しいでしょう。

こうしたことを踏まえると、コーポレートガバナンスの発展段階としては、①まずはコードで謳われているような、標準的なコーポレートガバナンス関連の強化は一通り済ませた上で、②その企業の目指す経営の方向性や置かれている環境を踏まえて、ガバナンスの独自性を検討していく、ということになるのではないでしょうか。いずれにしても独自性を目指すのであっても、最低限のガバナンスの基盤が出来ていることが必須だと思います。