コーポレート・ガバナンスニュース(2021/1/29)
本日は、以下の記事について取り上げます。
1.オリンパス再建に陰の主役 粉飾決算から10年の総決算
2.脱「たすき掛け」波乱含み 三井住友トラスト社長交代
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1.オリンパス再建に陰の主役 粉飾決算から10年の総決算
【注目ポイント(記事一部引用)】
オリンパスが第2の創業に乗り出した。カメラ事業売却や早期退職募集など痛みを伴うが、抜本的に事業構造を転換する。日本の企業統治(ガバナンス)に一石を投じた粉飾決算事件から2021年で10年。「石橋をたたいても渡らない」と言われた保守的な企業風土だったが、大株主から取締役を迎え、株主目線で経営に規律を働かせる。身を切る茨(いばら)の改革を実行し、高収益なグローバル医療機器メーカーへ脱皮できるか。
【コメント】
オリンパスの一連の構造改革の過程をみていると、事業ポートフォリオの組み換えと組織・人事の変革をセットで行い、トランスフォーム(変革)の名に相応しい企業変革を推進中であるということがわかります。アクティビストのバリューアクトから社外取締役を受け入れることで、取締役会の強化を行うと共に、執行サイドでもアステラス製薬からCFOを受け入れるなど、監督・執行の両面で人材強化に余念がありません。
成長分野への投資と不振事業の売却など、改革の第一段階はほぼ終えた状態だと思いますが、オリンパスが掲げるグローバル企業水準の収益力が確保までには、まだ時間が掛かりそうです。しかし、構造改革を掲げる以前と比較して2倍以上の株価水準で推移していることから市場の期待値は依然高く、改革の行方に注目が集まります。
2.脱「たすき掛け」波乱含み 三井住友トラスト社長交代
【注目ポイント(記事一部引用)】
三井住友トラスト・ホールディングスは28日、高倉透執行役員(58)を4月1日付で社長に昇格させる人事を正式に発表した。傘下の三井住友信託銀行の社長には大山一也取締役(55)が就く。出身行のバランスをとる「たすき掛け」をやめ、初めて両トップを旧住友信託銀行出身者が占めることになる。発足から10年を経てなお融和が課題になる。
【コメント】
三井住友トラストホールディングスの新社長人事が発表されました。ホールディングスと傘下の信託銀行のそれぞれの新社長には、初めて旧住友信託銀行出身者が就任することから、「脱たすき掛け人事」として話題になっているようです。ところで、同社のグローバルの競合企業である、ブラックロックやフィデリティでは、社内だけでなく社外も含めて最適な人材をCEOに選ぶべく、数年がかりで後継者計画を準備しています。
三井住友ホールディングスも2017年より指名委員会等設置会社に移行しており、今回の人事は社外取締役が過半数を占める指名委員会での検討を踏まえて取締役会で正式決定されたものではありますが、未だに脱「たすき掛け人事」が話題となるところをみると、日本を代表する大企業のCEOサクセッションとは思えない、旧来型の人事という印象がぬぐえません。