コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/29)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 人材確保「機動的戦略を」 経産省、企業向け報告書公表へ
  2. 関電、福井で取締役会 金品受領1年、企業統治を重視

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1.人材確保「機動的戦略を」 経産省、企業向け報告書公表へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
経済産業省は日本企業に対し、経営戦略に合った人材を確保するための人材戦略を重視するよう求める有識者報告書を近く公表する。経営目標の達成に向けて社内外から能力のある人材を機動的に集める欧米などに比べて、日本企業は人材面の戦略が弱いと判断。デジタルトランスフォーメーション(DX)などを急ぐためにも従来型の人材活用の見直しを訴える。

【コメント】
経産省が既に公表している「事業再編実務指針」では、事業ポートフォリオの見直しとそれに応じた事業再編の実行の具体的な取り組み方を示したものです。記事で取り上げられている内容からは、これは人材ポートフォリオの機動的な組み換えやそれに伴う必要な人事変革・組織変革をテーマとしているように見受けられます。詳細はレポートが公表され次第、確認の上、当ブログでも取り上げたいと思いますが、記事の最後にある「取締役会で自社の人材戦略を監督・モニタリングをする必要性にも言及する」という文言からはCEOサクセッションとのつながりも含めて、広く重要ポジションの監督強化を取締役会に求める内容が盛り込まれることを示唆しているように思えます。

 

2.関電、福井で取締役会 金品受領1年、企業統治を重視

【注目ポイント(記事一部引用)】
関西電力は28日、福井県美浜町の原子力事業本部で初めて取締役会を開いた。26日に発覚から1年がたった金品受領問題は同本部の役職員が多く関与し、閉鎖性が問題視された。その現場で重要会議を開くことで、風通しの良い組織の構築や実効性の高い企業統治につなげる狙いだ。

【コメント】
先日こちらの記事でもコメントしましたが、グローバル企業では本社以外の重要地域で取締役会を開催することは珍しくなく、現地の視察や将来有望な社員を把握するなど、様々なメリットもあることから日本企業も積極的に行うべきだと考えます。関電は、今後少なくとも年1回は同様の取り組みを行うとのことです。開催目的の一つに、社外取締役と現場社員との意見交換も含まれているようですが、関西電力の運営する原子力発電所は美浜以外にも高浜、大飯と2つありますし、他に水力・火力・風力・太陽光と他の重要な発電所などもその対象に含めることも問題はないはずです。草の根的な活動にはなりますが、こうしたことも含めて関西電力の組織風土改革はまだまだこれからだと思います。