コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/21)
本日は、以下の2つの記事について取り上げます。
- 15%が有報にESG情報 3年で13ポイント増、不動産は26%
- 東芝、議決権の1.3%集計せず 三井住友信託「他社に影響も」
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1.15%が有報にESG情報 3年で13ポイント増、不動産は26%
【注目ポイント(記事一部引用)】
ESG(環境・社会・企業統治)に関するリスク情報や経営方針を開示する上場企業が増えている。PwCアドバイザリー(東京・千代田)によると、「ESG」や「SDGs(持続可能な開発目標)」について有価証券報告書に記載する企業は3年前に比べて13ポイント増の15%になった。機関投資家が重視する流れを受けて企業が経営課題として位置づけている。
【コメント】
ESG投資熱の高まりと共に、企業側のESG関連・SDGs関連情報といった非財務情報の開示意欲が高まっています。基本的にこうした動きは評価するべきだと思いますが、記事の中の以下のコメントにある通り、単に開示する情報量を増やせば良いというものではありません。「単に記載を増やすだけでなく、企業の持続的成長と結びつけて開示することが必要だ」
先日、エーザイがESGと自社の企業価値の関連性を積極的に情報発信を行っている取り組みについて触れましたが、ESGと自社の成長をどのようなストーリーで語るかが問題なのです。もちろん、その中の一つにコーポレートガバナンスも含まれるので、単にガバナンスを強化するといった通り一遍の説明では早晩、投資家・株主の支持を集めることは難しくなるでしょう。
2.東芝、議決権の1.3%集計せず 三井住友信託「他社に影響も」
【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝は18日、株主総会前日の7月30日までに持ち込まれながら有効に集計されなかった議決権行使書は1139枚で、議決権数は5万8747個だったと明らかにした。比率では全体の1.3%で、総会議案の結果に影響は与えなかったとしている。株主名簿管理人の三井住友信託銀は、他の企業にも影響が生じる可能性があるとしている。
【コメント】
これが事実だとすると、とんでもない話です。ところで、こちらの記事でも取り上げましたが、株主総会から1か月以上も経ったこのタイミングでこうした記事が相次ぐのはなぜでしょうか。「三井住友信託銀と郵便物を扱った日本郵便に、議決権行使書の配送、集計状況の調査を要請し、報告を受けた。」
今回の記事の中では、上記の通り東芝から進んで調査を依頼し、報告を受けて事態が発覚したとのことですが、発端としては株主総会の結果に不満をもつ大株主からの要請が背景にはあるのかもしれません。いずれにしても、株主総会結果に影響はないとはいえ、その正当性が揺らぎかねない失態だと思います。