コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/13)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. 大戸屋、瀬戸際の自主再建 TOB成立、全役員に刷新圧力
  2. 女性取締役、欧州先行 仏伊3割・日本は「ゼロ」7割
  3. 不祥事相次ぐ関電、「コンプライアンス憲章」年内に策定へ

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1.大戸屋、瀬戸際の自主再建 TOB成立、全役員に刷新圧力

【注目ポイント(記事一部引用)】
定食チェーン、大戸屋ホールディングスの自主再建の道が閉ざされる瀬戸際にある。焼き肉の「牛角」などを運営する外食大手コロワイドによる敵対的TOB(株式公開買い付け)が9日成立。約47%の株式を握られ、取締役11人全員の刷新を要求された。返答期限の15日まで残り時間は少ない。

【コメント】
コロワイドによる大戸屋への敵対的TOBが成立したことを受けて、コロワイド側は大戸屋の全取締役の解任と7人の新たな取締役の選任を求めています。法律に則った要求でもあり批判されることではないのかもしれませんが、大戸屋は今後も上場を維持する以上、大戸屋の少数株主に対して、コロワイドが今後大戸屋をどのように経営していくかを明確に示すべきと考えます。コロナ禍において外食産業自体が大打撃を受ける中で、買収者であるコロワイドの業績も決して芳しくありません。新経営体制でどのように成長を遂げていくかが問われる中で、15日に臨時取締役会を開催予定の大戸屋の対応に注目が集まります。

 

2.女性取締役、欧州先行 仏伊3割・日本は「ゼロ」7割

【注目ポイント(記事一部引用)】
米金融大手のシティグループの最高経営責任者(CEO)に初めて女性が就任することになった。世界の上場企業をみると取締役への女性の登用は欧州が積極的で、フランスやイタリアでは3割を占める。米国も2割で、日本は4%と中東などと並び世界で最も低い水準となっている。

【コメント】
取締役会に女性を含めるか否かでいえば、全く存在しないor著しく少ないのは、明らかにバランスを欠いているというのが世界の趨勢です。一方で、性別に限らず多様性をどのように取締役会で確保するかというのはコーポレートガバナンス上、極めて重要です。なぜ取締役会に多様性が必要なのかについては、こちらの記事が大変参考になります。

 

3.不祥事相次ぐ関電、「コンプライアンス憲章」年内に策定へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
関西電力役員らの金品受領問題が発覚してから27日で1年となるのを前に、関電のコンプライアンス委員会委員長を務める中村直人弁護士が産経新聞のインタビューに応じ、利用者目線を取り入れた「コンプライアンス憲章」を年内に取りまとめる意向を示した。憲章では公平な企業行動など「目指す企業理念」を最上位に掲げ、コンプライアンス(法令順守)よりも業務を優先していた関電の企業風土改革を進める考えだ。

【コメント】
先日こちらの記事でも取り上げた、中村直人弁護士が関西電力のコンプライアンス委員長に就任されていたことを初めて知りました。記事の中でも述べているように、指名委員会等設置会社への移行や社外取締役として榊原氏を招聘した関電の現状について、「外形的なガバナンスの改善が進んでいる」と述べているのは、これだけでは問題は解決しないことを数多くの企業不祥事対応への経験から熟知されているからでしょう。以前もご紹介しましたが、企業不祥事の防止という観点から、下記の記事は大変参考になります。

 

参考記事

中村直人弁護士に聞く、スルガ銀行問題の根幹にあるもの ガバナンスを変えても不祥事はなくならない