コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/7)

本日は、以下の記事について取り上げます。

  1. 社外取締役の権限強化を

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1.社外取締役の権限強化を

【注目ポイント(記事一部引用)】
新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大きな打撃を受けるなか、中長期的な企業ガバナンス(統治)への影響も無視できない。保護主義や人権問題などの分断、デジタル化の加速が浮き彫りとなり、それらに対応できる企業統治が問われる。コロナ時代の企業統治について前経団連会長(関西電力会長)の榊原定征氏に聞いた。

【コメント】

記事の中で、榊原氏は以下のように述べています。

「社外取締役の権限を強め、社会の視点を経営に取り込む必要がある。社長の選任などを社外取締役に委ねる指名委員会等設置会社を志向することが、透明性、客観性、妥当性といった面で望ましい統治の方向だと思う。まだ全上場会社のうち2%にあたる70社強しか移行していない」

前半の「社外取締役の権限を強め」というのは完全に同意見ですが、その後の「指名委員会等設置会社を志向することが、透明性、客観性、妥当性といった面で望ましい統治の方向」というのは必ずしもそうではないと考えます。監査役会設置会社であっても透明性・客観性・妥当性を備えたガバナンスを実現している企業もありますし、指名委員会等設置会社であっても、実質的に「経営者による支配」がなされ、ガバナンスが歪められている企業はあります。

機関設計をどうするというよりも、どれだけ実効性のあるコーポレートガバナンスを実現できているかを詳らかにした方が余程効果があるのではないでしょうか。例えば、一つのアイディアとしては、コーポレートガバナンスコードでも毎年の実施が求められている「取締役の実効性評価」について、イギリスのように、例えば3年に1度程度は、外部の第3者機関による実効性評価の実施を求めるのも有効な手です。多くの日本企業にとって、政府主導のコーポレートガバナンス改革によって、はじめて現在求められているコーポレートガバナンスの取り組みを本格的に開始したのが実情であり、良い悪いは別として、外圧や社外からの監視が最もガバナンス改革には効果的なのではないでしょうか。だとすると、取締役会の実効性評価を定期的に第3者が関与して行うことは、ごまかしや形式的な取り組みを超えて、企業の取締役会が真剣にガバナンスに向き合うきっかけとなると思いますが・・・。

 

参考記事

<解説・前編>社外取締役の在り方に関する実務指針

<解説・後編>社外取締役の在り方に関する実務指針