コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/4)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 大戸屋HDを追い詰める新たな投資家
  2. 女性取締役2割増、過去最高に 社外出身がけん引

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1.大戸屋HDを追い詰める新たな投資家

【注目ポイント(記事一部引用)】
外食大手のコロワイドに敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている定食チェーンの大戸屋ホールディングスが、瀬戸際まで追い込まれつつある。コロワイドは8月下旬、TOB成立条件の下限を45%から40%に引き下げ、TOB期間を8月25日から9月8日まで延長した。従来の条件ではTOB成立に必要な株数が集まらなかったためだが、この延長戦に入り乱入してきた「新たな投資家」が大戸屋を追い詰めている。

【コメント】
大戸屋に対するコロワイドの敵対的TOBですが、TOB期間を8月25日から9月8日まで延長すると同時に成立要件の下限を下げたことで、TOB成功の可能性が高まっているようです。ところで、仮にコロワイドが経営権を取得し、大戸屋が上場を維持した場合、親子上場となります。親子上場企業における経営陣の選解任や取締役の選任などは、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針に則って、コロワイド側も大戸屋側も大戸屋の少数株主の権利保護に配慮しながら、適切に進める必要があります。この点、コロワイドも当然理解しているとは思いますが、一連の大戸屋に対するコロワイドの強硬な対応を見ていると、ヤフー・アスクル問題で浮かび上がったような支配株主による子会社へのコーポレートガバナンス不全が再び繰り返されないか、その点が気になります。

2.女性取締役2割増、過去最高に 社外出身がけん引

【注目ポイント(記事一部引用)】
上場企業で女性取締役の増加ペースが速まっている。東京証券取引所1部上場企業に在任する女性取締役は1354人と1年前に比べ22%増えた。社外出身の女性取締役が26%(233人)増えたのが主因。取締役会による経営陣の監督強化を目指す企業統治(コーポレートガバナンス)改革を背景に、社外の優秀な女性人材を迎える動きが広がっている。一方、女性の社内取締役は10人増にとどまっている。

【コメント】
女性の取締役登用に関する調査結果ですが、記事にもある通り大企業で女性の社内取締役が選任されるケースは依然少数に留まります。一方で、中堅中小企業では女性の取締役登用に前向きというのは明るいニュースです。なぜ大企業ではそうした動きが進まないか、その理由について記事では、「大企業ではそれなりの実績や納得感が必要。社内の女性が取締役になるのは依然ハードルが高」いとしていますが、本当でしょうか。むしろ、中堅中小企業では男女間における昇進昇格に対して差別がなく実力主義であるのに対して、大企業では本来の実力以外の社内の評判や暗黙のルールなどで、事実上女性の昇進昇格に対してまだまだ高い壁があるのが実情ではないかと思います。