コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/2)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. ポスト安倍、ガバナンス改革を止めるな
  2. 東証の少数株主保護手続き、親子上場以外にも適用へ

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1.ポスト安倍、ガバナンス改革を止めるな

【注目ポイント(記事一部引用)】
安倍晋三首相の後継選びが本格化してきた。市場参加者が期待するのは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた対策などと並び、日本経済を成長軌道に再び乗せるための構造改革だ。特に安倍政権下で一定の成果を上げた企業統治(コーポレートガバナンス)改革の継続と深化を求める声は強い。

【コメント】
記事の主張でもある「コーポレートガバナンス改革を後退させるな」という意見には全面的に賛成です。また、最後に今後の鍵として大企業ばかりではなくマザーズ上場企業など、これから成長を目指していく企業へもガバナンス改革の対象を広げていくことにも賛同します。東証の市場改革では、新たに整理された市場ごとに上場基準の中にコーポレートガバナンスに関する要件も含まれる方向で調整されていますが、ベンチャー企業などが上場を目指す現在の東証マザーズに該当する新市場で、こうしたガバナンス要件が設けられることで、さらに日本企業全体のコーポレートガバナンスの取り組みのレベルが上がっていくと期待しています。

 

 

2.東証の少数株主保護手続き、親子上場以外にも適用へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
東京証券取引所は、親子上場会社に適用している少数株主保護の手続きを、実質的な支配力がある会社を大株主に持つ企業にも適用する方針だ。少数株主を保護するための方法や取引内容などの開示を求めるもので、実施時期を含めて詳細を今後詰める。実質的な支配力を持つ会社と結んでいる重要な契約などの公表も要請する方針だ。

【コメント】
今回の東証の少数株主保護の手続きの適用範囲を拡大する方針の背景には、ヤフー・アスクル問題にみられるような親子上場企業間におけるコーポレートガバナンス不全の防止だけでなく、こうした考えが親子上場に当たらない場合であっても様々な利益相反を未然に防止するために必須との考えに基づいているように考えられます。特に、記事の中でも触れられていますが、取締役の指名権を実質的に親会社と握ってしまっている例は少なくなく、そうしたことが野放図に放置されてしまうと健全なガバナンスを歪めることに繋がりかねません。既に親子上場にあたる企業に対しては、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針が策定されていますが、今回をきっかけに、また別の実務指針が策定されるのかどうかは未定のようです。