コーポレート・ガバナンスニュース(2020/8/7)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. アクティビスト投資会社、平均は大幅損失でも一部は2桁リターン
  2. 米サード・ポイント、アマゾンなどハイテク企業に新規投資
  3. コロナ禍で株安の米企業、買収防衛策に走る

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1.アクティビスト投資会社、平均は大幅損失でも一部は2桁リターン

【注目ポイント(記事一部引用)】
アクティビストとして企業に変革を働き掛ける投資会社は今年前半、運用成績が平均では大幅なマイナスとなったが、一部は2桁のリターンを確保した。

一部のアクティビストは、新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が停止して失業率が大きく上昇した状況下でも、運用成績を大きく伸ばした。

【コメント】
記事によると2020年前半は、アクティブスト全体では前年に比べて平均リターンがマイナス14%と厳しい結果となっています。ソニーやファナックへのアクティビスト活動で有名なサード・ポイントは新たにアマゾンやアリババといったハイテク企業への投資を開始していますが、コロナ禍でも業績好調なハイテクやヘルスケアなどにアクティビストの注目が集まるかもしれません。

 

2.米サード・ポイント、アマゾンなどハイテク企業に新規投資

【注目ポイント(記事一部引用)】
物言う株主(アクティビスト)として知られるダニエル・ローブ氏が率いるヘッジファンド、サード・ポイントが、米アマゾン・ドット・コム(AMZN.O)や中国の電子商取引最大手アリババ(BABA.N)などのハイテク企業の株式を新たに取得したことが分かった。ロイターが顧客向け書簡を入手した。

【コメント】
サードポイントがアマゾンやアリババ、ウォルトディズニーなどのハイテク・エンタメ企業に対して新規の投資を行ったとのことです。いずれもコロナ禍において業績好調な企業が対象です。恐らく純投資目的だと思いますが、例えばアマゾンやアリババなどはいわゆる伝統的な大企業に比べるとコーポレートガバナンスの強化にはそれほど熱心ではないように見られるため、場合によっては取締役の選任などガバナンス改善の要望を出してくる可能性もあり得ます。

 

3.コロナ禍で株安の米企業、買収防衛策に走る

【注目ポイント(記事一部引用)】
新型コロナウイルスの影響で株価が低迷する米国企業が敵対的買収に備える防衛策を相次ぎ導入している。エネルギー企業などがコロナ禍の「安値」買収への緊急避難と位置付ける。従来は反対してきた議決権行使の助言会社も容認する。一方で投資ファンドは潤沢な資金を抱えており、買収を巡る攻防が激しくなる可能性もある。

【コメント】
コロナ禍の企業業績の悪化によって株安に悩む米国企業が買収防衛策を導入しているとのことですが、米国企業の経営者が、こうした世界的な危機において自社を狙う存在がいることへの強烈な危機意識を強く持っていることがうかがえます。翻って、日本企業の経営者に同じ意識はどこまであるでしょうか。一時に比べると敵対的買収も増えつつありますが、未だに資産の切り売りを目的に、敵対的買収を仕掛けても日本社会が許さないと考え、どこか高を括っている経営者も少なからず存在します。コーポレートガバナンスの強化と同じく敵対的買収についても常日頃の備えを行っておくことが重要です。