コーポレート・ガバナンスニュース(2020/7/20)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 女性生かす企業に高評価 業績との相関、投資家注目
  2. 大戸屋社員がTOBに反対表明「コロワイド傘下なら辞める」

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1.女性生かす企業に高評価 業績との相関、投資家注目

【注目ポイント(記事一部引用)】
少子高齢化やグローバル化で事業環境が変化するなか、上場企業で多様な意見を経営に反映する動きが活発になっている。女性を経営陣に登用するよう求める投資家の声も大きくなった。女性活用に積極的な企業の業績や株価が堅調と指摘する声は、経営上無視できなくなりつつある。

【コメント】
この記事は、記者の主張がやや先行し過ぎている点が気になりました。記事内で経産省の担当課長が述べているように、「女性活躍と財務に直接の因果関係を説明するのは難しいが、相関関係は出ている」とあるものの、記事の全体的な論調は、女性活用の推進待ったなしといった印象を読者に与えます。多様性のある取締役会の実現という観点で、中年~初老の男性のみの取締役会に、女性取締役を入れるべきというのはわかりますし、弊社もその必要性は十分理解しているつもりですが、ここまで「女性推し」というのも、却って色々と反発を招きそうです。あくまでどのような取締役会を目指すか、取締役の要件は何かという会社としての取締役会に対する思想が最も重要なはずです。この点がないまま女性取締役を選任するのは、単に対外的に要求されているに過ぎず、結果、ガバナンスが形式上整えられるだけです。

 

2.大戸屋社員がTOBに反対表明「コロワイド傘下なら辞める」

【注目ポイント(記事一部引用)】
定食チェーン大手、大戸屋の社員の一部が7月17日、大戸屋ホールディングス(HD)に対するコロワイドによるTOB(株式公開買い付け)に反対すると表明した。大戸屋HDは20日にも臨時取締役会を開き、TOBへの反対を決議する予定で、両社の争いは敵対的買収へと発展することになった。

【コメント】
今回の記者会見は、大戸屋の従業員側の代表として、コロワイドのTOBへの反対表明のようですが、もちろん大戸屋経営陣の意向を反映した行動です。従業員代表のこうした反対表明や記者会見はもちろん世間の耳目を集め、世論を形成する際に有効な面はあるものの、狙い通りに事が進むかどうかはやってみないとわからないのが実情で、かなりリスキーな手段だと思います。本日の取締役会で正式にTOB反対決議を行う予定のようですが、その正式な発表と共に何らか有効な買収防衛策を発表できるかが、焦点です。仮に、ホワイトナイトとなる企業の発表など、敵対的買収への対抗策を示せない場合は、コロワイドによるTOB成立の可能性が一段と高まります。