コーポレート・ガバナンスニュース(2020/7/18)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 事業売却 過去10年で最多
  2. 「物言う株主」の取締役入り、東芝にとり強みに

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1.事業売却 過去10年で最多

【注目ポイント(記事一部引用)】
日本の上場企業が事業の選択と集中を急いでいる。今年1~6月の子会社や事業の売却件数(発表日ベース)は139件と同期間では過去10年で最多だった。規模より収益性を重視する傾向が、新型コロナウイルスで強まっている。事業再編の巧拙がコロナ後の企業の成長を分けそうだ。

【コメント】
日本のコーポレートガバナンス改革は「攻めのガバナンス」と評されるように、企業の稼ぐ力を高めるための重要な取り組みとして位置付けられ、推進されてきました。ROE目標8%などの資本効率性を高める経営改善は、従来よりは改善されているものの未だに多くの企業がPBR1倍割れという状況をみると、この取り組みは今後も継続・強化されるべきです。日本政府としては、企業に対して更なる構造改革を進め、収益性を高める努力を求めるでしょうし、その一環として、記事にもある通り、今月内にも策定される予定の「事業再編の実務指針」によって、今後さらに事業ポートフォリオの見直しは進むと予想しています。

 

2.「物言う株主」の取締役入り、東芝にとり強みに

【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝(6502.T)は物言う株主の要求を強みに変えることができる。旧村上ファンド出身者が運営するシンガポールの投資ファンドで筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが東芝に取締役を送り込むことを提案。これに対し、東芝は利益相反になると主張している。実のところ、筆頭株主を取締役会に参画させるのは、東芝、そして日本株式会社にとって自信を示すことになるのだ。

【コメント】
東芝とエフィッシモの取締役選任を巡る対立については、既に東芝としてあるべき取締役会の議論を行い、必要な要件を定義し、それに沿った候補者が選定されている以上、これ以上の追加は必要ないという東芝の反対表明は筋が通っていると考えます。この記事はエフィッシモからの取締役候補者を受け入れることで、より株主と協調して経営にあたっていることのスタンスを示す必要があるという立場のようですが、取締役受け入れだけが株主との協調の手段ではありません。何より、現状で既に12名存在するにさらに3名追加して15名体制にするというのは、取締役会の規模としては多くなり、取締役会の効率的な運営に影響がでないか、気になるところです。