コーポレート・ガバナンスニュース(2020/7/14)
本日は、以下の2つの記事について取り上げます。
- 米株主助言大手、米企業に取締役の人種開示要請
- テンセント社員の半数近くに株式報酬 一人平均49万香港ドル
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1.米株主助言大手、米企業に取締役の人種開示要請
【注目ポイント(記事一部引用)】
コーポレートガバナンス(企業統治)に絶大な影響力を持つ株主助言会社が米企業に対し、取締役や経営幹部の人種を開示するよう求めている。株主の間で企業幹部の人種多様化を求める声が高まっていることが背景にある。
【コメント】
米国企業の取締役会の多様性に関しては、多くの企業が取締役の要件を示したスキルマトリックスを公表するなど、既に日本よりかなり先行しています(日本企業の取締役会が、あまりに多様性がないという問題でもありますが)。フォーチュン100社のうち取締役の人種や民族の多様性に関するデータを開示した企業の比率が、3年前の23%から19年には45%に増えるなど、今後も人種や民族、出身地域など、多様性に関する情報開示は進みそうです。日本では専門性や経験に関するスキルマトリックスの公表は増えつつありますが、それでもまだまだ少数です。多様性を表す指標は、他にもありますが、良い悪いは別にして、日本企業の場合は、まずは「専門性・経験」と「性別(女性)」、次が「国籍(外国人)」というのが、多様性確保のトレンドとなるように思います。
2. テンセント社員の半数近くに株式報酬 一人平均49万香港ドル
【注目ポイント(記事一部引用)】
7月10日夜、騰訊(テンセント)は香港証券取引所で最新の株式奨励計画の公告を発表し、同計画に基づいて新株2664万株を発行し、奨励の対象となる2万9700人以上に株式を付与することを明らかにした。
【コメント】
社員のおよそ半数にあたる約30,000人の従業員に対して、一人あたり平均987株(日本円で約676万円相当)のストックオプションの付与を予定しているとのことです。日本企業でも従業員に対して株式報酬を導入するケースはありますが、ここまで大規模かつ高額の付与はグローバルでも珍しいと思います。IT企業のように国籍を問わず、優秀人材の獲得を行っている企業ならではですが、これだけの巨額の報酬を用意する背景は、人材獲得競争が激化していることの何よりの証左です。