コーポレート・ガバナンスニュース(2020/7/12)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 自社株を役員報酬、導入5割増 株主視点の経営促す
  2. 社長交代、4年ぶり減 20年上半期、コロナで先延ばしも

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1.自社株を役員報酬、導入5割増 株主視点の経営促す

【注目ポイント(記事一部引用)】
役員に、自社の現物株を報酬として付与する企業が増えている。6月末時点で800社超と過去1年間で5割増え、上場企業全体の2割に達した。報酬と株価を連動させることで、中長期的に株価を高める経営をするよう役員を動機づける狙いがある。

【コメント】
譲渡制限付株式報酬(RS)の導入が、現時点で昨年から約46%増加していると記事で報じられています。株式報酬自体を新規でを導入する企業もあれば、ストックオプションや信託型の株式報酬に追加、またはこうした株式報酬からの変更のケースもあるでしょう。弊社でも今年の1~3月期に複数の上場企業に対して、譲渡制限付株式報酬の新規導入と報酬委員会での検討に向けたご支援をさせて頂きました。譲渡制限付株式報酬は、仕組み自体はシンプルでわかりやすく、経営陣と株主との利害共有を報酬で実現する仕組みとして有効であり、今後その導入数は更に進むでしょう。特に、現時点では多くの企業で3年間の譲渡制限期間を設けるなど、シンプルな設計となっていますが、今後はより業績との連動性を高めるために、業績連動型の譲渡制限付株式報酬の導入が増えると予想しています。

2.社長交代、4年ぶり減 20年上半期、コロナで先延ばしも

【注目ポイント(記事一部引用)】
日本経済新聞社がまとめた主要企業の社長(頭取含む)交代調査によると、2020年上半期(1~6月)は599社で新社長が就いた。交代した社数は前年同期から111社減り、この10年間で最も少ない。新型コロナウイルスの感染拡大で多くの企業の通常業務が滞るなか、社長交代時期を先延ばしした企業が多かったようだ。

【コメント】
新型コロナウィルスの感染拡大の影響によって、通常業務が滞っているため社長交代が先延ばしとなったと記事では分析していますが、本当でしょうか。そうしたケースもあるとは思いますが、単に先延ばしだけで、昨年から100社以上も減るのかというとそうではないように思います。「Withコロナ」「Afterコロナ」と云われるように、多くの企業が明らかに経営のフェーズが変わったため、次のトップの選任基準や要件を改めて真剣に考え直しているのではないでしょうか。実際に弊社のご支援先でも社長の人材要件を再検討する企業が出てきています。「平時」から「有事」へと激変した現在だからこそ、CEOサクセッションは最重要課題となるはずです。