コーポレート・ガバナンスニュース(2020/7/11)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. 株主提案へ賛成3割超 JR九州など9社で、統治に批判

  2. 「大株主が社外取になるのは利益相反」 東芝がエフィッシモに反論
  3. 大戸屋VS.コロワイド、TOBのカギ握る「ファン株主」

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1. 株主提案へ賛成3割超 JR九州など9社で、統治に批判

【注目ポイント(記事一部引用)】
コロナ下でも株主の監視の目が強まっている。3月期企業の株主総会議案の賛否率を調べたところ、JR九州やフジテックなど9社で株主提案への賛成率が3割を超えた。企業統治や収益性を問題視する声が多く、会社議案でも取締役選任などの賛成率が低下した。ESG(環境・社会・企業統治)面の要求も強まる中、企業は一段の経営改善努力を求められる。

【コメント】
記事にあるように株主提案の賛成率が3割を超えるというのは、会社側からすると無視できない数字のはずです。通常、株主提案は否決されることが多いため、問題になるのは「その支持率がどの程度」かだからです。例えば海外企業の例をみても、環境への取り組みに関する株主提案に一定の賛成率が集まった結果、企業の取り組みや経営方針が変化するという事例は少なくありません。企業側からすると厄介な話ですが、株主側は今後も株主提案を出す出さないやその内容をどうするかを含め、企業との駆け引きが多くなると思います。

2.「大株主が社外取になるのは利益相反」 東芝がエフィッシモに反論

【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝は7月8日、法令順守強化へ「コンプライアンス有識者会議」を設置したと発表した。子会社の東芝ITサービスで発覚した、循環取引後の再発防止策の一環。社外から東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)の免震ゴム偽装問題で社外調査チーム代表を務めた弁護士の小林英明氏と公認会計士の神林比洋雄氏を招き、東芝の車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)や監査委員会を含めたメンバーで再発防止に努める。

【コメント】
タイトルにある「大株主が社外取締役になるのは利益相反」というのは、ややミスリードです。正確には、大株主は会社に対して独立性を担保できてないので、独立社外取締役になるのは無理があるということです。東芝の現在の社外取締役の構成は全員が独立社外取締役であり、これは同社の中で明確な方針の基、決定されたように推察されます。そう考えると、今回の太田監査委員会委員長の指摘は的を得ています。一方で、東芝のオーナーの立場にあるエフィッシモとしては、取締役会への影響力を高めたいという方針は揺るがないでしょう。特に子会社の循環取引問題など、コンプライアンス上重大な事件も発覚し、ガバナンス強化の必要性は強く認識しているはずです。間もなく株主総会を迎えますが、太田氏が別のインタビューで述べているところによると、どちらの勝利となるかは依然不透明なようです。

3.大戸屋VS.コロワイド、TOBのカギ握る「ファン株主」

【注目ポイント(記事一部引用)】
外食大手のコロワイドが9日、定食店を手がける大戸屋ホールディングスにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。株式の5割超を取得し、子会社にすることを狙う。成否のカギを握るのが大戸屋HDの株主の6割超を占める個人投資家だ。わずか2週間前の株主総会で大戸屋HDの現経営陣を支持した「ファン株主」は心変わりするだろうか。

【コメント】
大戸屋からすると、どれだけファンでいてくれる個人株主であっても、TOB価格に相応のプレミアム(コロワイドの発表によると45%程度)が乗る以上、個人株主の多くがTOBに賛同してしまう危険性を認識しているはずです。そうすると買収防衛に掛けるしかありませんが、幾つかある買収防衛策のうち、有力なのはホワイトナイト(白馬の騎士)です。過去にはドン・キホーテがオリジン東秀に対して敵対的買収を仕掛けたところ、イオンがホワイトナイトとして登場し、ドン・キホーテの買収を防いだ事例があります(その後、イオン傘下でオリジン東秀の業績は向上)。今回は同じ外食企業が最もシナジーがあるはずですが、コロナ禍ということもあり、どの外食企業も資金的な余力はないはずです。こう考えていくと、ホワイトナイトもなかなか難しいかもしれません。個人的には、今の大戸屋の味は変わってほしくないため、コロワイドが買収後にセントラルキッチンを導入することを危惧しているのですが・・・、果たしてどうなるでしょうか。