コーポレート・ガバナンスニュース(2020/6/22)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 任意の指名・報酬委 東証1部の5割超が設置
  2. コロナが試すESG経営 社員・取引先への目配り重要に

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1. 任意の指名・報酬委 東証1部の5割超が設置

【注目ポイント(記事一部引用)】
任意の指名委員会や報酬委員会を設置する上場企業が19日時点で1111社となり、東証1部上場企業の5割を超えた。社長や取締役の選解任、報酬の決定プロセスを透明化する狙いがある。一方で、委員会の開催は半数近くの企業で年に1~2回にとどまる。今後は実効性が問われそうだ。

【コメント】
指名・報酬委員会の設置は、1部上場企業では多くが既に導入済み、その他の企業でも導入に向けた検討が進んでおり、早晩設置していない企業の方が珍しくなるでしょう。問題は、その中で何をどのように議論するかですが、私がこれまで支援してきた実感値としては、指名報酬委員会の年間のアジェンダをしっかりと決めて、スケジュール化できている企業はそれほど多くなく、また委員会を設置したものの、まだまだ形ばかりの議論を行っている企業の方が多いのが現状と思います。役員の選解任や役員報酬の決定というテーマに対して実のある議論をどのように行うか、その鍵を握るのは、委員会を支える事務局です。弊社でも、ゼロから指名・報酬委員会を立ち上げ、効果的に運営していくための事務局強化支援を行っていますが、良い議論が出来ている企業ほど、事前のアジェンダの設定や必要な情報収集・分析、社外取締役への事前レクチャーなど、事務局が運営をバックアップする体制が確立できています。

 

2. コロナが試すESG経営 社員・取引先への目配り重要に

【注目ポイント(記事一部引用)】
「新型コロナウイルスが世界を変えた今、改めて長期視点に基づく経営の重要性を感じている」。ソニーの吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)は5月19日、2020年度経営方針説明会の冒頭でこう切り出した。

【コメント】
新型コロナウィルスの感染拡大による企業業績への影響から、ESG経営を巡る企業側の動向が注目されていました。当初はESG経営が後退し、短期業績をより重視するようになるのではと心配する声も上がっていましたが、記事にもあるように世界の主要な機関投資家が一斉にESG重視の投資方針を打ち出したこともあり、コロナ以前に比べて、更にESG経営を重視する企業側の姿勢が鮮明になっているようにみえます。特に従業員への対応については、今後企業側の対応に注目が集まります。たとえば、コロナウィルスの感染拡大防止の観点で、テレワークが一斉に広まりましたが、単に感染の防止というだけでなく、多様な働き方の実現という観点で今後どのような働き方を推進するのか、そのための人事評価制度はどうあるべきかなど、組織・人事面の課題は特に対応が急務です。