コーポレート・ガバナンスニュース(2020/10/12)
本日は、以下の記事について取り上げます。
1.日立の組織戦略、ジョブ型人材管理の仕組みは?50人だけ「選抜エリートプログラム」も
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1.日立の組織戦略、ジョブ型人材管理の仕組みは?50人だけ「選抜エリートプログラム」も
【注目ポイント(記事一部引用)】
特に強化しているのが、経営リーダーの育成である。社会にとっての価値、産業構造や事業構造の変化を見極め、市場や顧客、競合他社の動きを踏まえて適切なタイミングで経営判断できるリーダーを全世界から人選し、育成していく考えだ。外部人材も積極的に登用していく。そのために、変革を実践し、業績を上げている400人の中から、若手優秀層50人を「Future50」として集め、集中的に育成しているのである。
【コメント】
企業の経営者や人事責任者の方と人事課題について話をすると、必ずといってよいほど、「経営人材の不足」が話題となります。日立グループのように従業員数がグローバルで10万人以上となる大企業であれば、人材不足とは無縁だろうと考える向きもありますが、大企業であってもCEO候補に加えて、CXO候補、国内外のグループ会社幹部、主要部門の責任者・・・と重要なポジションが全て質・量ともに充足しているといえる企業はほとんどないのが実情です(日立グループは推測するしかありませんが…)。
経営人材の育成は長い取り組みが必要になり、有効な手立てとしては記事でも書かれているような人材委員会を設け、人材の評価・育成・モニタリングを仕組みとして整備し、その取り組みを一定頻度で毎年行っていくことが重要になります。
日立グループの秀逸なところはその取り組みの徹底度合いです。記事では、候補者人材として400人を選抜、特別アサインメントを行いながら、その人材レベルの見極め、育成、モニタリングを人財委員会を年30回開催することで行っているとのことです。この中には本社だけでなく、グローバルの主要な地域レベルの人財委員会の開催も含まれているのかもしれませんが、その回数の多さには驚嘆します。事務局を担っている各人事担当者の労力や実施に向けた準備を考えても、ここまで徹底して実施できている企業は、海外企業でもそう多くないように思えます。
日立グループでは、他の日本企業に先駆けて「ジョブ型人事制度」を導入し、組織と人材のグローバル化を推進してきました。既に経営幹部には外国人の登用も進んでいます。国籍や年齢、性別に関係なく実力と能力本位で最適な人材を登用していくというグローバル企業として本来あるべき人材登用が定着すると、将来的にはCEOに外国人が内部昇格する形で就任するケースもいよいよ現実味を帯びてきます。