コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/9)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. コロワイド、大戸屋の取締役過半狙う
  2. 取締役会をバーチャルで成功させる8つの方法

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1.コロワイド、大戸屋の取締役過半狙う

【注目ポイント(記事一部引用)】
外食大手コロワイドは、TOB(株式公開買い付け)の成立を受けて大戸屋ホールディングスに対し、経営・事業の両面で改革を提案する見通しだ。近く臨時株主総会の開催を要求し、取締役の過半を確保したい考え。そのうえで、店舗運営などの改善に着手する。新型コロナウイルスの感染拡大でコロワイドの業績も厳しく、買収路線の加速で収益強化を狙う。

【コメント】
昨日の記事
で指摘しましたが、やはりコロワイドによる大戸屋への敵対的TOBは成立しました。過半数は取っていないものの株主提案ではなく、敵対的TOBですので、コロワイドによる勝利の確定です。気になる今後ですが、コロワイドは臨時株主総会の開催を求め、全体の過半数以上の取締役をコロワイド側で固める意向のようです。

「臨時総会は11月上旬の開催を要請する。大戸屋HDの経営陣と交渉し、折り合いがつけば会社提案として複数の既存役員の残留を含めた取締役の議案を提出してもらう方針。妥協にいたらなければ、取締役を株主提案し、経営陣を刷新する。いずれにせよ取締役の過半はコロワイド側で固める方針だ。大戸屋HDの執行体制は今後検討する。」

事実上、今後はコロワイドによって大戸屋の経営方針や店舗運営方針は決定されます。しかし、大戸屋は上場を維持する方針のようですから、これも以前から指摘しているように親子上場となり、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針で求められているように大戸屋の少数株主の権利保護に配慮したガバナンスの在り方が求められます。特に、コロワイドが今後行うであろう社長をはじめとした執行側の役員の選任については、親会社(コロワイド)からの高い独立性を備えた指名委員会での議論が本来は必要ですが、大戸屋の最新のコーポレートガバナンス報告書をみると、指名委員会も報酬委員会も設置がなく、現状のままでは形式上も実態としても親子上場間のガバナンス不全を防ぐ備えが十分とは云い難い状況です。

 

 

 

2.取締役会をバーチャルで成功させる8つの方法

【注目ポイント(記事一部引用)】
感染症の流行で大人数で顔を合わせた会議は開けなくなった。もちろん、取締役会も例外ではない。多くの企業がこの変化に苦労しているが、うまく移行できた企業はバーチャルな取締役会のほうが好ましいと気づくケースも多い。「二度と対面の取締役会に戻ることはない」と断言するCEOもいる。本稿では、バーチャル取締役会への移行を成功させる8つの方法を示す。

【コメント】
本コロナ禍によって、様々なミーティングや打ち合わせなどがオンライン化されています。弊社がご支援している企業でも、本年4月以降、取締役会や指名・報酬委員会の開催をオンラインで行う企業は増えていますが、多くの企業でまだまだその取り組みは試行錯誤といった状態かと思います。そうした中で、取締役会のオンライン開催に焦点をあてた記事は本稿が初めてのように思いますが、非常に参考になる点が多くあります。記事では、取締役会をバーチャルに開催するための8つのTipsを取り上げていますが、対面からオンラインになることによるデメリットの解消だけでなく、議事進行の効率化や議題や論点の明確化など、オンラインだからこそ得られやすいメリットについても触れています。結局、取締役会も会議の1つであると考えれば、対面ではないと実施できないという理由はありません。取締役会のメンバー構成が、そもそも他地域に跨る企業においては、従前から取締役会のオンライン開催は行われていますが、コロナウィルスによる影響だけでなく、日本企業でも外国人社外取締役の登用など、取締役会の多様性が増すことによって、同じ状況に直面している企業が徐々に増えてきているのではないでしょうか。