コーポレート・ガバナンスニュース(2020/8/12)
本日は、以下の記事について取り上げます。
- 東芝、「薄氷の選任」車谷社長に待つ次の難題
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1.東芝、「薄氷の選任」車谷社長に待つ次の難題
【注目ポイント(記事一部引用)】
まさに薄氷の勝利だった。
東芝が7月31日に開いた定時株主総会で、車谷暢昭社長兼CEOの取締役選任案への賛成比率は57.96%にとどまった。
総会ではアクティビストファンド(モノ言う株主)とされる外資系投資ファンド2社がそれぞれ独自の取締役候補を提案して東芝と対立。車谷氏は過半数を獲得して取締役に選ばれたが、ギリギリの信任となった。
【コメント】
タイトルとは異なり、記事の中身としては、東芝としては今回の結果は思った以上に良い結果だったのではないかという論調で書かれています。今回は大株主のアクティビストの議決権行使の足並みが完全には揃わなかったことが、会社側の勝利に寄与した面があります。記事の後半では、今回の株主総会が(会社側にとっては)最も厳しいアクティビズムを受ける局面であることを示唆し、理由として東芝株の堅調な推移、キオクシア株式の売却による株主還元策の強化などが挙げられています。確かに、今のまま順調に推移すれば当面の危機は回避できそうです。しかし、東芝の課題は、子会社の不祥事を許したグループガバナンスの強化と今後の成長戦略の実現です。この2つは今回の株主総会の前から指摘され続けてきました。特に成長戦略に関しては、車谷CEOがCEOに就任して以来の懸案事項ですが、未だ成果が出ているとは言えない状況が続いています。株主総会を乗り越えたからといっても、ただでさえ、コロナ禍で足元の業績の不透明さが増す中でもあり、今後の取り組みには依然注目が集まっています。