コーポレート・ガバナンスニュース(2020/6/28)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. JAL、業績連動型株式報酬を不支給 新型コロナで経営厳しく

  2. 関電、引責辞任の元相談役に社用車など提供「必要に応じた措置」

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1. JAL、業績連動型株式報酬を不支給 新型コロナで経営厳しく

【注目ポイント(記事一部引用)】
日本航空(JAL、9201)は26日、2020年3月期を業績評価の最終年度とする3年間の業績目標の達成状況に連動した株式報酬について、一律支給しないことを決めたと発表した。

【コメント】
今回の決定は、厳しい経営状況を踏まえて報酬支払いが相応しくないという同社の報酬委員会の答申を受けて取締役会で決定したものであるとのことですが、妥当な判断だと思います。なお、同社の最新のコーポレートガバナンス報告書によると、役員報酬に占める割合は固定現金報酬・短期業績連動報酬(賞与)・中長期業績連動報酬(株式報酬)で構成され、比率はそれぞれ50:30:20となっています。株式報酬の割合は全体の20%程度とのことなので、今回の決定でこれが0になるということは総報酬の20%減となります。加えて、短期業績報酬(賞与)も支給は0~220%まで変動する仕組みとなっています。実態としては支給はゼロに近いのではないでしょうか。そうするとこの分も0だとすると、役員報酬は半減というところでしょうか。

 

2. 関電、引責辞任の元相談役に社用車など提供「必要に応じた措置」

【注目ポイント(記事一部引用)】
関西電力は、金品受領問題で3月に引責辞任した森詳介元相談役に、退任後も社用車や執務室を提供していると明らかにした。森氏が同社と関係がある団体の役職を続けており、必要に応じた措置だと説明している。ただ、関電は森氏に損害賠償訴訟を起こしており、矛盾する対応が批判を集めそうだ。

【コメント】
先日開催された株主総会で、金品の不正受領問題を受けてガバナンス強化を掲げていた関西電力ですが、スタートから躓いた格好です。社用車や執務室の支給をどのように捉えるかですが、見方によっては非金銭的な報酬(役得のようなもの)とも受け取れます。また、既に関西電力との直接な関係は途絶えているため、その支給根拠や支給を決定したプロセスも今後問題になりそうです。