コーポレート・ガバナンスニュース(2021/2/26)

本日は、以下の記事について取り上げます。

1.日立、投資で脱炭素重視

2.独立社外取締役を過半に

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1.日立、投資で脱炭素重視

【注目ポイント(記事一部引用)】
日立製作所は25日、環境戦略についての説明会を開き、M&A(合併・買収)や研究開発への投資を判断する際に脱炭素を重視する意向を表明した。環境や社会貢献を重視するESG投資が世界で広がっており、環境対応を経営の軸に据える姿勢を鮮明にする。

【コメント】
世界的に脱炭素シフトが進む中で、事業投資への観点でも脱炭素の要素を重視せざるを得ない状況が刻々と広がっていますが、気になったのは、記事の中で指摘されている以下の点です。

最近はESG投資家が利益をCO2排出量で割った炭素利益率(ROC)に着目するようになっているが、米国の評価機関によると日立はほかの重電大手に比べて評価が低い。

このように、「炭素利益率」という概念は、脱炭素に向けた企業の取り組み状況を横並びで比較する際に便利だと思いますが、投資家がこうした指標を重視する際に、どの程度重要視するものなのでしょうか?また、炭素利益率も単年度だけの良し悪しではなく、恐らく中長期の傾向がより重要になってくるはずであり、どの程度の時間軸で見極めるのかも気になるところです。

 

2.独立社外取締役を過半に

【注目ポイント(記事一部引用)】
「独立社外取締役を過半数にしたい」。西日本鉄道の倉富純男社長は2022年春の東京証券取引所市場再編を控え意欲的な目標を掲げた。西鉄が上場する東証1部に代わる「プライム市場」では、一般株主と利益相反しない独立社外取の比率を3分の1以上とするよう求められる見通し。ただそうした人材は限られており「招へいするにもなかなかいない」

【コメント】
ただでさえ人材難である社外取締役の比率を取締役会全体の1/3以上へと変えていくことは、短期的には多くの企業で困難であり、西日本鉄道のように社内取締役を減らすことで、結果的に社外取締役比率を上げていくアプローチは選択肢としてアリだと思います。

日本の取締役会は、元々、社内の業務執行取締役が務めるのが一般的でした。社外取締役の設置が進んだ2010年代には取締役会の規模が縮小され、業務執行取締役の数が減っている企業が多いのは事実ですが、まだまだ社内取締役比率が多数を占める企業が多いのが実状です。

米国のようにCEOのみが社内取締役として存在し、他は全員社外取締役というのは極端であったとしても、社外比率を1/3以上というのは、工夫次第で十分に実現可能だと思います。