コーポレート・ガバナンスニュース(2021/1/20)
本日は、以下の記事について取り上げます。
1.金融庁、脱炭素に資金誘導 気候変動対策、銀行の監督項目に/企業には情報開示促す
2.東証・市場再編、「一部上場」乱発の終焉…約600社が“一流企業”から脱落か
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1.金融庁、脱炭素に資金誘導 気候変動対策、銀行の監督項目に/企業には情報開示促す
【注目ポイント(記事一部引用)】
金融庁は脱炭素社会の実現に向けた銀行や企業の取り組みを後押しする。気候変動対策を銀行の監督項目に追加し、企業が再生可能エネルギーの設備投資などで資金調達しやすくなるよう促す。企業には気候変動に関する情報を積極的に開示するように求める。
【コメント】
日本政府政府が進める2050年までに温暖化ガスを実質ゼロとする目標の実現に向けて、企業に対して気候変動対策の取り組みや情報開示の強化を求めるとのことです。ESG投資の勢いがここにきて更に加速しており、既に欧米の上場企業に対しては、気候変動に関係する取り組みや情報開示の強化が行われています。日本においても昨年の株主総会では、みずほフィナンシャルグループに対して、日本初の気候変動に関する株主提案がなされるなど、今後同様の動きは増えることが予想されます。こうした現況を踏まえると、改訂が予定されるコーポレートガバナンスコードで気候変動に関係する取り組みを一定程度企業側に求めることに妥当性はあると考えます。
2.東証・市場再編、「一部上場」乱発の終焉…約600社が“一流企業”から脱落か
【注目ポイント(記事一部引用)】
東京証券取引所は2022年4月、現在の東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックの4市場体制を廃止し、プライム、スタンダード、グロースの3市場に再編する。それぞれの市場の役割を明確にしたうえで、最上位にあたるプライムの上場基準を厳しくして、グローバルな投資マネーの呼び込みを狙う。
【コメント】
2022年4月に予定される東証の市場再編については、特にプライム市場における上場維持要件を従来よりも厳しくし、市場における新陳代謝を促すものになっています。記事では、時価総額の要件によって現在東証1部に上場しながらプライム市場移行後に脱落する企業が相当程度出る可能性を報じていますが、時価総額要件だけでなくコーポレートガバナンスに関する要件も上場維持基準に含まれるのが、今回の市場再編の大きな特徴です。問題なのは、コーポレートガバナンスに関する要件は、形式的には一度満たせばクリアされると考えられますが、ガバナンスの実質性を担保しようとするとその取り組み内容や取り組み結果をどこまで定期的に確認し続けられるかが問われます。
たとえば、不祥事が発生し、深刻なガバナンス不全が明らかになった企業に対しては、コーポレートガバナンス要件を満たしていないことは明らかであり、上場廃止になり得るということは理解できます。一方で、そうではない企業のガバナンスの健全性を、形式的ではなく実質的にどのように見極めていくのかは、具体的な手法や基準も含めて今後さらなる検討が必要になるでしょう。