コーポレート・ガバナンスニュース(2020/12/10)

本日は、以下の記事について取り上げます。

1.取締役多様化で改革促す 統治指針改定案

2.役員報酬、ESGと連動

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1.取締役多様化で改革促す 統治指針改定案

【注目ポイント(記事一部引用)】
金融庁と東京証券取引所は2021年春に改定する企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)で、取締役会に社外人材をより多く登用し、管理職も一段と多様化するよう経済界に求める。新型コロナウイルスの感染拡大などで事業環境が大きく変わるなか、多様な視点を取り入れて経営改革を促すのが狙いで、多くの企業は対応を迫られる。

【コメント】
来年6月に予定しているコーポレートガバナンスコードの改訂の検討が本格化してきました。記事にある有識者会議(フォローアップ会議)では以前より取締役会の多様性の確保と社外取締役比率を上げることが議論されてきましたが、東証の市場改革も見据えて取締役会全体の1/3以上を社外取締役で構成する流れになりそうです。
一方で、こちらも以前から指摘されている役員の指名や報酬関連の実効性の強化・向上について、指名委員会や報酬委員会の設置義務や同委員会における社外取締役比率については議論はあったようですが、まだ結論は出ていないようです。

 

2.役員報酬、ESGと連動

【注目ポイント(記事一部引用)】
役員報酬をESG(環境・社会・企業統治)に連動させる企業が増えている。二酸化炭素(CO2)排出削減や従業員の多様性などの達成度合いで支給額が変わる仕組みで、米国で主要企業の半数、日本で日経500種平均株価の構成企業の1割弱が導入した。ESG投資が広がる中、経営者が中長期目線で評価されるようになってきた。

【コメント】
ESG投資熱の高まりとともに企業側の対応が急ピッチで進んでいますが、役員報酬における業績連動報酬の指標にもESG指標を導入する企業が増えてきています。こうした数が増えること自体は良いことではありますが、問題なのはその指標を設けることで、実際のESGの取り組みがどの程度進んだかです。役員報酬全般に言えることですが、業績連動報酬、特に株式報酬の導入は急速に進んでいるものの実際にその結果、企業業績がどれだけ向上したかを振り返って検証している企業はまだまだ多くありません。ESGについても同じことが言えますが、指標を導入しただけでは、形を整えただけであり、実態を伴わせることが今後の課題です。