コーポレート・ガバナンスニュース(2020/10/1)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. 米アップル、クックCEOに株式報酬付与 2011年以来
  2. 親子上場解消の季節到来か、今後も相次ぐとの予想-TOB額は高水準
  3. 米ブラックストーン、投資先の温暖化ガス排出15%削減

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1.米アップル、クックCEOに株式報酬付与 2011年以来

【注目ポイント(記事一部引用)】
米アップルは29日、ティム・クック最高経営責任者(CEO)に33万3987の譲渡制限付き株式ユニット(RSU)を付与した。同氏への株式報酬付与は2011年以来。

【コメント】
Appleのティム・クックCEOが2011年に付与されて以来の株式報酬を新たに受け取ることになりました。GAFA各社の経営幹部の報酬をみるとその多くが譲渡制限付株式で構成されています。しかし、付与のタイミングは各社で異なり、毎年付与するAmazonやFacebookの企業もあれば、隔年で付与しているGoogle、原則就任時に付与としているAppleと様々です。今回のティム・クック氏への譲渡制限付き株式ユニット(RSU)の付与は、2011年に付与したRSUの期日を来年迎えるため、新たに中長期インセンティブとして付与されるものとなり、前回と同様に今回も10年間の期間制限が付くものと考えられています。

 

2.親子上場解消の季節到来か、今後も相次ぐとの予想-TOB額は高水準

【注目ポイント(記事一部引用)】
NTTによる巨大グループ再編で親子上場問題への関心が高まる中、市場では日本企業が9月末の上半期決算を通過することから今後もグループ再編が高水準で続くとの見方が出ている。

【コメント】
昨年から今年にかけては、特に日立や東芝といった電機系の企業で上場子会社の再編が急速に進みました。もちろん、コーポレートガバナンスへの対応の面もありますが、それ以上に事業ポートポートフォリオの整理の過程で、自社に取り込む企業とグループ外に出す企業の選別を改めて行っている結果とみられます。今回のNTTによるNTTドコモの完全子会社化もそうした取り組みの一環とみられます。コロナ禍において、どの企業においても今後の事業の選択と集中は進むことが予想されますが、その中で親子上場の数は減少していくと思われます。

 

3.米ブラックストーン、投資先の温暖化ガス排出15%削減

【注目ポイント(記事一部引用)】
世界最大規模の投資会社、米ブラックストーンは29日、投資先ごとに地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)排出量を15%減らす取り組みを始めると発表した。自社の専門家を派遣して省エネ設備の導入などを支援する。マネーの力で環境問題の解決を図る「ESG」投資の流れが、ファンド業界でも強まってきた。

【コメント】
投資先企業に対して、株主提案として環境対策関連の提案を行う企業は増えていますが、今回のブラックストーンの取り組みのように、ESGの数値目標を設定した上で、自ら投資先に専門家を派遣して対応を支援するというのは非常に珍しいです。記事にもある通り、他のファンドでも相次いで投資先企業に対するESG対応を強化する動きはありますが、それだけアセットオーナーである年金基金などからのESG強化の要請が強い証左でもあります。