コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/20)
本日は、以下の2つの記事について取り上げます。
- 関電、福井で28日取締役
- 大戸屋、コロワイドによる解任免れたラストマンの役割
※記事のタイトルをクリックすると、記事リンク先に移行します
1.関電、福井で28日取締役
【注目ポイント(記事一部引用)】
関西電力は18日、福井県美浜町の原子力事業本部で取締役会を28日に開くと発表した。大阪市の本店以外での開催は初めて。金品受領問題の再発防止や信頼回復に向け、経営層と現場の距離を縮め、風通しの良い組織の構築につなげる狙い。
【コメント】
取締役会の開催を本社以外で行うことは日本ではまだ珍しく映りますが、グローバル企業ではあえてそのような開催形態を取る企業もあります。自社にとって戦略上重要な地域について、社外取締役も含めて現地を視察することも必要です。過去実際にあるグローバル企業の社外取締役を務めた方から直接窺った話としては、将来の有望な人材を把握しておくために、あえてそうした候補者が存在する地域を優先的に選定し、取締役会の前後で候補者とコミュニケーションを取ることで人材把握に努めたということもうかがいました。今回の関西電力の取り組みは、風通しの良い組織の構築を目指すためとのことですが、そうした目的なのであれば今回に限らず、今後も同様の取り組みは続けていくべきだと思います。
2.大戸屋、コロワイドによる解任免れたラストマンの役割
【注目ポイント(記事一部引用)】
外食大手のコロワイドは16日、敵対的TOB(株式公開買い付け)によって、出資比率を19%から47%に引き上げた定食チェーン、大戸屋ホールディングス(HD)の臨時株主総会の開催請求について議案の一部を修正したと発表した。内容は現取締役11人の解任議案の対象から取締役の山本匡哉氏を外すというものだ。当初は11人の解任と新取締役7人の選任を議案としていた。ここにきてなぜコロワイドは山本氏だけを解任対象から外したのだろうか。
【コメント】
コロワイドによる大戸屋への敵対的TOBが成立したことで、今後の焦点は大戸屋の新経営体制に移っています。大戸屋側は窪田社長の退任だけでなく、山本氏を除く(社内および社外)取締役の退任の可能性が高い以上、執行も監督面も含めて総とっかえの状態です。一方で、現経営陣や取締役陣がゼロになってしまうと過去の経営判断などの経緯が一切わからなくなってしまうことから、(コロワイド側からすみて)最も味方にできる可能性の高い山本氏だけは残すということでしょうか。コロワイド側は大戸屋の経営と店舗運営を見直し、「コロワイド流」に転換することを以前より主張していました。仮に目論見通り、コロワイド流が徹底された場合、コロワイドからすると、山本氏をいつまでも取締役の立場に留めておく必要はなく、一定の期間を経て取締役から外れる可能性も十分あり得ます。