コーポレート・ガバナンスニュース(2020/9/10)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. 企業統治、「透明性」向上へ
  2. ESG投資、日本の課題は

※記事のタイトルをクリックすると、記事リンク先に移行します

 

1.企業統治、「透明性」向上へ

【注目ポイント(記事一部引用)】
ツルハホールディングス(HD)やアークス、サツドラHDなど創業者らが大きな影響力を持ってきた北海道の小売各社が経営の透明性向上を急いでいる。後継者計画を検討し、社外取締役を交えた意思決定のシステムを整備。海外投資家の投資対象にもなる企業統治スタイルを確立する。

【コメント】
こちらは日経新聞の北海道地域版の記事ですが、確かに北海道には創業経営者による大手小売り業が多数存在します。よく創業経営者型の企業とサラリーマン経営者型の企業で、コーポレートガバナンスの取り組みを進めるときに、前者の方が創業者からの抵抗が強く、実行が困難ではないかという質問を受けることがありますが、筆者の経験上は必ずしもそのようなことはありません。むしろ、創業経営者型の企業の方が、あるべき論を基に議論が進みやすく、一気に最も先進的な取り組みを始めるというケースも少なくありません。たとえば、エーザイやオムロンなど、コーポレートガバナンスの先進的な取り組みが評価される企業として、創業家型の経営者が率いる(または創業家が経営に強い影響力を保持する)企業が目立つのは、そのような背景が考えられます。

 

2.ESG投資、日本の課題は

【注目ポイント(記事一部引用)】
ESG(環境・社会・企業統治)を重視した投資が世界で加速している。気候変動や女性の社会進出、感染症対策などに積極的に取り組む企業を選別し、地球規模で問題を解決する狙いがある。日本も3年で投資額が6倍に増えたが、なお世界に見劣りする。課題を探った。

【コメント】
この記事の中でも触れられていますが、日本企業と欧米企業のESG関連の取り組みにおける課題の一つは、対外的な説明です。

「日本企業の場合、欧州企業などと比べ、アピールが下手だなと感じる。成果を隠すのが美徳という考え方が残っているのではないか。やっていることを分かりやすく伝え、情報を的確に開示していくことが何より大事だ。」

こちらはコーポレートガバナンスに関しても同じことがいえますが、情報開示に対して受動的であり、積極的にアピールしようとする姿勢は、日本企業の場合、圧倒的に足りていません。企業の統合報告書などをみていても、欧米のそれとの比較ではビジュアルによる表現の豊かさなど、まだまだ改善点が多いと感じています。