コーポレート・ガバナンスニュース(2020/8/14)
本日は、以下の2つの記事について取り上げます。
- 東証再編、非上場化促す 「経営陣が買収」検討増
- 大戸屋・オイシックス提携
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1.東証再編、非上場化促す 「経営陣が買収」検討増
【注目ポイント(記事一部引用)】
経営陣が自社の株式を買い取るMBOという手段で企業が非上場化を検討する動きが広がりそうだ。取引金融機関との間で必要資金の融資条件などの協議が増えてきたという。東証1部に代わる新市場の創設により、上場維持にはこれまでより厳しい条件が課される見通しであることも経営者の背中を押している。
【コメント】
東証の市場再編に関しては、1部上場基準にコーポレートガバナンスに関係する要件も含まれる予定であることから、その影響度に注目しています。たとえば、米国市場ではニューヨーク証券取引所もNASDAQも独自の上場基準を定め、その中には社外取締役に関する要件や機関設計、情報開示などガバナンスに関する厳格な基準も含まれています。元々、日本の株式市場は一度上場してしまえば維持し続けることは容易であり、新陳代謝が進まないことを懸念する声がありました。今回の市場再編によって、特に1部上場企業を中心に、ガバナンス関連の取り組みはより一層進むはずです。
2.大戸屋・オイシックス提携
【注目ポイント(記事一部引用)】
定食店「大戸屋」を手掛ける大戸屋ホールディングス(HD)は、生鮮宅配のオイシックス・ラ・大地と業務提携する。食材と調味料がセットとなった「ミールキット」を共同で開発し、オイシックスの通販サイトで販売する。大戸屋はコロワイドから敵対的TOB(株式公開買い付け)を受けているが、企業価値を高める取り組みで、既存の株主をつなぎ留める。
【コメント】
大戸屋にとって今回の業務提携の狙いは、もちろんコロワイドから仕掛けられている敵対的TOBへの対抗です。しかし、今回の件が、決定的な対抗策になり得るかというとそうではない可能性が高いと考えます。以前、同様に敵対的TOBを前田建設に仕掛けられていた前田道路も、同業のNIPPOとの業務提携を一つの対抗策として発表しましたが、結果的には前田建設の敵対的TOBは成立しました。もちろん水面下では、資本提携も含めて検討しているはずですが、現時点ではコロワイドによる買収が成功する可能性が高いことに変化はないように思います。