コーポレート・ガバナンスニュース(2020/6/18)
本日は、以下の2つの記事について取り上げます。
- 京阪神ビルディング、総会で旧村上ファンドの人事案否決
- コロナ禍の株主総会、バーチャル化は進まず土産は廃止
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1. 京阪神ビルディング、総会で旧村上ファンドの人事案否決
【注目ポイント(記事一部引用)】
関西を地盤とする不動産会社の京阪神ビルディングが大阪市内で16日開いた定期株主総会で、旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド、ストラテジックキャピタルによる社外取締役選任の株主提案は否決された。
【コメント】
ストラテジックキャピタルによる社外取締役選任の株主提案が否決されました。ストラテジックキャピタル側は、京阪神ビルディングの取締役が、取引先銀行である三井住友銀行出身者が多数を示している現状を問題視していた訳ですが、今回の総会では会社側提案が勝利し、一旦決着がついています。しかし、ファンド側は今後も株主であり続けるでしょうから、引き続き取締役の選任基準や選出までのプロセスについて様々な疑問を呈してくるでしょう。本来は取締役の選任についても指名委員会等でオープンに議論するべき事項として取り組むべきでもあり、今後ストラテジックキャピタルはその点を突いてくるかもしれません。京阪神ビルディングの取締役の選任に関する取り組み実態はわかりませんが、取締役の選任基準やプロセスはまだまだ未整備で、客観性や妥当性を問われると答えに窮するという企業は大企業でも少なくないのが現状です。
2. コロナ禍の株主総会、バーチャル化は進まず土産は廃止
【注目ポイント(記事一部引用)】
「事業展開しているインドで、新型コロナ感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)が続いたので、決算処理が遅れ、6月株主総会は通常開催が無理かとヒヤヒヤした」。こう振り返るのは、ある上場企業の総務担当者だ。結局、この会社は現地社員のテレワークがうまく機能し、現地監査法人との協議もトントン拍子で進んだため、予定通り株主総会を6月下旬に開催することになった。通常、2人の担当者が登壇して経営状況を語るが、今年は経営状況を説明する動画を見せることにし、新型コロナの感染防止のために時間短縮を図るなどの工夫を凝らす方針だ。ネット配信するバーチャル株主総会については検討する時間がなかったという。
【コメント】
Withコロナ時代における初の株主総会の開催シーズンを迎えていますが、旧来型の株主総会の開催方式が継続されており、期待されていたバーチャル株主総会の開催は少数に留まるようです。とはいえ、新型コロナウィルスの影響が今年中に収束し、来年の株主総会は元通りの開催が出来るという保証もない以上、これから1年間を掛けて開催方式については見直しが進むと思います。以前から申し上げていることですが、以前から問題視されていた開催日の集中の解消なども含めて、株主総会の在り方自体も見直すきっかけとなることを期待しています。