コーポレート・ガバナンスニュース(2020/6/2)

本日は、以下の2つの記事について取り上げます。

  1. ドリームインキュベータ、堀氏退任 山川社長も退任 後任は未定
  2. 駅探、「経営陣解任」の株主提案を拒否

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1.ドリームインキュベータ、堀氏退任 山川社長も退任 後任は未定

【注目ポイント(記事一部引用)】
ドリームインキュベータは1日、創業者の堀紘一取締役ファウンダー(75)が29日付で退任すると発表した。5月11日の取締役会で再任が決まっていたが、変更になった。同様に再任が決まっていた山川隆義社長(54)も退任する。後任は決まっていない。新型コロナウイルスの影響に対応するため経営体制の世代交代を一気に進めるとしている。

【コメント】
このニュースは戦略コンサルタントとして一時代を築いた創業者の引退として関心が高いようですが、私は別の観点から注目しています。DI社は2000年の創業後、祖業のコンサルティングだけでなくペット保険事業なども含めて連結売上高220億円を超える企業へと成長しています。2002年には東証マザーズに上場(その後05年に東証1部に指定替え)、以後18年間上場企業として存在しています。堂々たる上場企業といえますが、それにしては創業者および長年同社を率いてきた社長の退任が、あまりに突発的な印象を受けます。特に5月11日時点での取締役会では一旦留任となっていながらの突然の退任には正直首を傾げます。会社にとっては創業者の会長と社長が一度に退任するというのは、今後の経営を左右する最大のリスク事項です。また、後任の代表が決まっていないというのもよくわかりません。同社のコーポレートガバナンス報告書によると指名委員会を設置していることから、その中で何らかの議論があったのかもしれませんが、サクセッションプラン(後継者計画)についてどのように考え、取り組んでいるのか、そして今回の結論に至ったのか、是非詳細を明らかにしてほしいと思います。

2.駅探、「経営陣解任」の株主提案を拒否

【注目ポイント(記事一部引用)】
乗り換え案内サービスを手掛ける駅探は、同社株式の約31%(議決権ベース)を保有するCEホールディングス(HD)からの全取締役の解任を求める株主提案に反対することを決めたと1日発表した。CEHD側の役員案は「経営方針に合理性がなく、独立した経営が難しい」と反論。6月29日に予定する株主総会に向け、株主の委任状争奪戦になる可能性がある。

【コメント】
駅探の全取締役の交代を求めていたCEホールディングスからの提案に対して、駅探が反対を表明しました。CEホールディングス側の主張には事実誤認があると駅探は主張しています。事実関係の是非は現時点ではわかりませんが、いずれにしても決着は株主総会の場となるでしょう。コロワイドと大戸屋の件とも似ていますが、今回の件は、駅探の常勤取締役のパワハラ常態化など、取締役としての資質を問うものである点が特徴的です。