コーポレート・ガバナンスニュース(2021/1/14)
本日は、以下の記事について取り上げます。
1.リクルートHD社長に45歳の出木場氏 海外事業が課題
2.プライム市場のガバナンス
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1.リクルートHD社長に45歳の出木場氏 海外事業が課題
【注目ポイント(記事一部引用)】
リクルートホールディングスは13日、出木場久征副社長(45)が4月1日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格すると発表した。峰岸真澄社長(56)は代表権を持つ会長兼取締役会議長に就く。主力の人材サービス分野に米IT大手も参入するなか、新社長のもとデジタル技術の取り込みや海外スタートアップの買収を進める狙いだ。
【コメント】
リクルートホールディングスが9年ぶりに社長交代を発表し、次期社長に出木場副社長が昇格すると発表しました。現社長の峰岸氏は取締役会議長に就任するとのことです。2012年の東証1部への上場以降、時価総額を上場時2兆円から現在の7兆円超えまで押し上げた要因はオンラインHRサービスindeedの買収が大きく関係しています。その買収と買収後のPMIを一貫して指揮していたのが出木場氏ということもあり、今後のリクルートが目指す更なる日本国外の事業拡大を推進するに相応しい新社長の誕生といえそうです。
2.プライム市場のガバナンス
【注目ポイント(記事一部引用)】
東京証券取引所が新市場区分名を決定した。中でも「プライム市場」については「より高いガバナンス水準を備え(中略)持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向け」の市場として定義された。「高いガバナンス」に関しては、現在金融庁のスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議で検討されているコーポレートガバナンス・コードの改訂版が適用される。
【コメント】
東証の市場改革は、日本の金融市場が国際間競争力を担保するだけでなく、事実上これまでほとんど存在しなかった上場企業の入れ替えを促進させるという新陳代謝の活性化という意味合いがあります。そのため、プライム市場(現東証1部)に上場する企業には、高いハードルの1つとしてコーポレートガバナンス面もより高次元のものが要求されるというのがこれまで議論されてきたことでした。記事にあるように経団連がこうした動きに対して、後ろ向きであるというのは、前回のコーポレートガバナンスコードの改訂(2018年度)も同様の動きがありました。2018年度の改訂では、指名委員会・報酬委員会の事実上の設置を強く求める内容がコードに盛り込まれたのですが、最後まで激しく抵抗したのが経団連であるとフォローアップ会議の委員を務める方から伺ったことがあります。金融庁や東証は、コーポレートガバナンスコードの改訂に際して、くれぐれも反対意見に流され、安易な妥協を行わないようにしてもらいたいと思います。