コーポレート・ガバナンスニュース(2020/6/5)

本日は、以下の3つの記事について取り上げます。

  1. 米企業CEOの給与、大幅削減も株式報酬はそのまま
  2. 走る「車谷改革」で再び光るか東芝 不正会計から5年
  3. 米ベイン、コロナ禍でも日本への見方揺るがず-優良事業への投資探る

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1.米企業CEOの給与、大幅削減も株式報酬はそのまま

【注目ポイント(記事一部引用)】
新型コロナウイルス流行に伴う影響が米国経済全体に広がる中、多くの企業が最高経営責任者(CEO)の給与を削減した。今年まで強気相場に乗って記録的な報酬を得てきた企業トップにとって反転の状況となった。

【コメント】
米国企業でCEO報酬の削減が進んでいます。理由はコロナウィルスによる業績低迷やそれに伴うリストラに対する企業トップとしての責任を担うという姿勢だとと見て取れます。ただし、こうした動きをパフォーマンスにすぎないという批判も一部にはあります。その批判の根拠は、この記事の中で指摘されているようにCEO報酬の大部分を占める株式報酬の削減がほとんどなされていない点です。この指摘は的を得ています。実際問題、これだけの経済的打撃を受けながらコロナ以前に定めたCEO報酬のKPIを達成したからといって株式報酬を満額支払うことは株主や従業員としては受け入れがたいでしょう。日本でも同様の傾向がありますが、今後どこまで株式報酬を含む業績連動報酬の削減に取り組むか、注目しています。

2.走る「車谷改革」で再び光るか東芝 不正会計から5年

【注目ポイント(記事一部引用)】
東芝が5日、2020年3月期連結決算を発表する。経営危機の引き金となった不正会計発覚から5年。企業統治問題で揺れるなか、米原発子会社の巨額損失で上場廃止寸前まで追い込まれた。53年ぶりの外部出身の経営トップとなった車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)の下、構造改革を断行。走り出した車谷改革が回り、業績は改善傾向にある。東芝は再び光を取り戻せるか。

【コメント】
東芝は2019年の株主総会で外国人取締役が3名選任され、取締役会の構成も様変わりしました。コーポレートガバナンスとしては完全に欧米企業型を採用している同社ですが、株主にアクティビストが複数存在することから、株主目線を徹底しなければならない状況にあることがよくわかります。懸念されるとすると、短期的な業績主義に走りすぎないかという点です。この点があまりに強調されると、将来の成長に向けた投資が抑制されたり、一時的に損失を伴う構造改革が先送りされるリスクがあります。危機を脱した同社が、今後どのような成長ストーリーを描くか、気になるところです。

3.米ベイン、コロナ禍でも日本への見方揺るがず-優良事業への投資探る

【注目ポイント(記事一部引用)】
米投資ファンドのベインキャピタルは、新型コロナウイルス禍で経済の先行きが不透明な中、日本への強気の投資を続ける。他国と比べて感染症対策が奏功しているとして、積極的に優良事業への投資機会を狙っていく。

【コメント】
筆者が把握しているだけでも、アクティビストファンドのみならず、PEファンドもコロナ禍の現状を絶好の投資機会として考えているところが多い印象です。今後、2020年の後半にかけて、より業績の悪化が表面化する企業が増えることが予想される中、ファンドがそうした不振企業を救済する場面も益々増えるはずです。