駅探に大株主が全取締役の交代を要求
東証マザーズ上場企業で、乗り換え案内等のサービスを手掛ける駅探が、同社の大株主(保有比率は約31%)であるCEホールディングスより取締役全員の交代要求を受けている事実を、日経新聞が報じています。
病院向け電子カルテ大手で東証1部上場のCEホールディングス(HD)は21日、乗り換え案内などのサービスを手がける持ち分法適用関連会社の駅探(東証マザーズ)に対し取締役全員の解任を求めたと発表した。「取締役によるパワハラなど組織運営上の重大な問題が判明した」とし、6月の株主総会でCEHDの金田直之取締役を含む7人の選任を提案する。
日本経済新聞 2020年5月21日
CEホールディングスのリリースには、上記についてさらに詳細が書いてあります。
本日開示した「株式会社駅探に対する株主提案に関するお知らせ」について
なぜこのタイミングでこうした提案の公表を行ったのかについては、以下のように説明しています。(文字の強調等は筆者が追加、以下同)
当社はこれまで、駅探の自浄作用に期待し、本定時株主総会において駅探の会社提案として、本株主提案の内容を反映した議案を上程するよう働きかけを行ってきたため、当社からの公表を控えておりました。しかしながら、駅探は当社との話し合いを拒否し、また当社以外の駅探株主による仲介も不調に終わり、当社が公表を控える理由が無くなったこと、加えて、今後駅探は、新型コロナウイルスによる影響を理由として本定時株主総会の開催及び議決権行使の基準日を不当に延期し、新たな基準日までの間に資本異動を行うことにより、当社さらには一般の駅探株主の権利を毀損するおそれもあることから、今回開示を行うことといたしました。
また、今回の全取締役の交代要求の理由として挙げているパワハラ事案とそれによって生じた経営体制の不備について、以下のような記述があります。
駅探は、新型コロナウイルス感染拡大前においても、事業展開の遅滞と企業価値の減少が顕著で、また、当社と連絡を取っている企画・管理部門の社員が頻繁に退職することから、当社は駅探の現社員・元社員に確認したところ、常勤取締役によるパワーハラスメント、大量の退職者やメンタル不調者の発生など、組織運営上の重大な問題が判明しました。状況は深刻であり、部門長クラスはほとんど退職し、9つの部・室のうち、部長(担当部長を除く)は1名しかおらず、他は全て取締役が兼務しています。このような異常な状態が事業展開の遅滞と企業価値の減少を招いている大きな要因であると考えられます。
経営幹部であるはずの部門長クラスの多くが退任し、その理由が常勤取締役によるパワハラであるというのは確かに看過できない大問題です。
続けて、社長や常勤取締役とのやりとりについても以下のように生々しく言及されています。
このため、当社 杉本惠昭代表取締役社長(以下、「当社 杉本社長」といいます。)らが駅探 中村社長らと面談し、①事実関係調査のための第三者委員会の設置、②パワーハラスメントを行った常勤取締役の職務停止、③ガバナンス機能強化のための諮問委員会の設置(メンバーに当社役員2名を含む)と駅探取締役会へのオブザーバー参加、の3点を申し入れました。
その場では、駅探 中村社長から今後どのように取り組んでいくつもりかという意向は示されず、また同席した駅探常勤取締役から、たかが31%の株主がそのようなことを要請するのはいかがなものかという旨の株主を軽視する発言もありましたが、駅探 中村社長がこの発言を諫めるようなことはありませんでした。
その後、CEホールディングス側は駅探に対して、引き続きコミュニケーションを取り続けたようです。しかしながら、満足がいく回答が得られなかったことから、取締役全員の交代を行い、駅探の企業価値向上を目指したい意向とのことです。
駅探側からは現時点で、今回のCEホールディングスの提案についての反応はありません。
定時株主総会の開催日も迫っていますが、同社側の対応に注目が集まります。