コーポレート・ガバナンス関連ニュース(2020/5/24)
本日は、以下の3つについて取り上げます。
- 富士通、ファンド出身社外取を起用 市場の声共有
- コロナ下、変わる株主総会 入場制限や日程変更など
- 「親子」関係を見直す電機業界、コロナ後の成長探る
【注目ポイント(記事一部引用)】
富士通はソフトウエア事業への構造転換を図るなか、社外取締役の活用に注力する。特に投資家の視点をガバナンス(企業統治)に積極的に反映しようとしている点がユニークだ。自身もファンドなどで投資業務に携わってきた、同社の社外取で取締役会議長も務める阿部敦氏に、今後の方針を聞いた。
【コメント】
ファンドからの社外取締役受け入れとしては、昨年オリンパスが同社の株主であるアクティビストのバリューアクトから社外取締役を受け入れた例が話題となりました。今回社外取締役で取締役会議長の阿部氏のインタビューからは、富士通の外部からの知見を経営に反映させようという意欲が伝わってきます。今後は単独の社外取締役の要件がどうこうというよりも、取締役会全体でどのようなメンバー構成がふさわしいか、どのような取締役会を目指すかがより問われるのではないかと思います。
【注目ポイント(記事一部引用)】
新型コロナウイルスの感染拡大で、株主総会が様変わりしている。企業や経済産業省が感染防止のために来場自粛を呼びかけ、5月総会の参加者は大きく減っている。ピークを来月に控え、日程や会場の変更も相次ぐ。インターネットでの開催が感染防止に効果的だが、日本は規制があり欧米に比べ進んでいない。「有事」の株主総会は課題も浮き彫りにしている。
【コメント】
海外ではネット株主総会が進む中、日本では会社法の規定等によりリアル開催がまだまだ主流とのこと。既に多くのイベントでオンライン化が進んでいる以上、株主総会に関しても例外ではないでしょう。技術的には海外と同じくいつでもオンライン開催が可能と思います。以前より株主総会のオンライン化は企業にとっての効率性・コスト削減、株主にとっての利便性向上等の観点から強い要望がありました。今回を契機に必要な環境整備を一気に進めるのがベターと思います。
【注目ポイント(記事一部引用)】
ソニーが金融事業を100%子会社するなど事業再編モードが加速している電機業界。新型コロナウイルス感染拡大で社会構造が変化する中、各社の対応力が問われる。ソニーと同じくグループ再編を進める日立製作所や東芝の共通点は、社外取締役が過半を占める取締役体制にある。もともと日本特有の親子上場問題はコーポレートガバナンス(企業統治)などの観点で欧米からの批判は多かった。
【コメント】
先日発表があったソニーによる金融事業の完全子会社化は、コーポレートガバナンスの観点からは親子上場の解消という文脈で整理されます。記事にもある通り、総合電機メーカーでは他に日立や東芝なども同様の動きを強化しています。元々日本の上場企業に占める親子上場のケースは他国と比べても非常に多く、実態として利益相反や少数株主の保護に支障をきたすケースなども散見されていました。今後他の業界にもこうした流れが普及するかどうかが気になるところです。